リースマン『孤独な群衆』 if→itself【個人的パラダイム】より

そこで思い出したのは、個体発生は系統進化を繰り返す、というテーゼです。受精卵が新生児となるまで、魚類、両生類、は虫類、ほ乳類と進化の過程をたどるように形を変化させていくことは有名ですが、精神面でも各個体に起こる変化は人類全体の進化にある程度対応しているはずです。

リースマンによると、人間の性格は前近代では「伝統志向型」(伝統や習慣にしたがって行動する)、近代では「内部志向型」(自分の思想にしたがって行動する)、現代では外部志向型(他人の期待に応えるように行動する)と変化していったそうです。

これを個人にあてはめれば、何も考えずに毎日学校に通っていた小中学校時代は伝統志向型、作家をめざしたり学問での大発見を夢見たりしていた高校や大学は内部志向型、社会人として役立つ人間になろうとするのは外部志向型と言えそうです。20代というのは、ちょうど精神的に近代から現代へと自然と移り変わっていく時期なのかもしれません。