山田忠雄(山田孝雄の長男)

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/3578/diary1502.htm
2003年2月25日(火)
倉島長正 『「国語」と「国語辞典」の時代・下 -『日国』物語-』(小学館1997)を読了。下巻は『日本国語大辞典』の話が中心です。『日国』編纂の経緯や、過去に出された批評・批判、国語辞書論など興味深い話が満載ですが、我々にとって最も興味深いのは、「後味の悪い大批判」と題された1章。山田主幹の悪名高き『近代国語辞書の歩み』のうち「日国批判」の部分が取り上げられています。『近代国語辞書の歩み』は、上巻・下巻あわせて1778ページの大冊ですが、うち約2割にあたる約340ページが日国のために割かれています。内容は以前にも紹介しましたが、日国に対する露骨な対抗意識と悪意に満ち溢れていて、日国の編集長だった倉島氏もかなり困惑したようです。山田主幹という人は、本当に困ったお人だったようです。

説明のためとはいえ、語釈の中に編者である主幹が登場するとんでもなさは、他の辞書にはまねのできない芸当でしょう。 なお、この部分は第5版では削除されています。