正義;ロールズの正義の第一原理 vs. 客観主義

テキサス☆政治学留学生活 3月22日(月)の夜 より

「例えばロールズの正義の第一原理に見られるように、モダンリベラルの思想においては、正義は何かしら人々に「何を望んで良いか」ということを教えるものだと思うのですが、客観主義(Objectivism=アイン・ランドの思想)においては、関係が逆で、人々は何を望んでも良く、正義はそれらに基礎付けられているように思えるのですが、どうなんでしょう!?」というものです。つまり、モダンリベラルのアイデアでは、一応正義と善が分離しているとはいえ、正義は各人の善に対して何らかの制約を加えるもので、例えば殺人は「他人の同じ程度の自由と両立し得る最大限の自由に対する権利をもつべきである」という正義の原理に反するという意味で正当化できません。これに対して教授は「ランドは人々がどのような望みを持って良いかについては、明示的に語らなかったけれど、ロールズには明らかに反対でしょう」とだけ答えました。このような、個人の権利から論を組み立て、正義のルールを導くロジックは、何もランドの思想だけの特徴ではなく、リバータリアニズムや古典的自由主義と同じもののように思えるのですが、アイン・ランドは自らの客観主義とこれらの保守思想とをはっきり区別していたようです。この辺の議論がイマイチ僕にはまだわかりません。まああんまりこういう哲学的な話に深入りするのは、時間のムダという気もしますが。

こういう本質に関わる重要なことを「時間のムダ」と言ってのけるあたりが政治学徒らしさと言うべきか...
【参考リンク】哲学クロニクル - [chronique:00336] ロールズ追悼 (中山 元)