responsibility

言葉の文化的意味をカバーした新時代の英和辞典をめざして
山岸勝榮 明海大学教授 インタビュー(Asahi Weekly)
http://www.asahi.com/english/weekly/special/special04.html

『スーパー・アンカー英和辞典』の全面改訂で一番苦労したのは、denotation と呼ばれる辞書に載っている意味以外に、connotation という文化的な意味をいかに記述するかという点です。後者は文化が作り出した意味とでも言いましょうか、氷山に例えれば沈んでいる部分のことです。従来の英和辞典はこの connotation がうまく引き出せないままに作られてきました。
例えば、responsibility という見出し語には「責任」という訳語が当てられます。さらに用例として take responsibility とあれば「責任を取る」ですが、このまま覚えてしまうと誤解を生む原因になります。日本では政治家や会社の重役が「責任を取る」と言った場合、通例「辞任することで責任を取る」と解釈されます。他方、英語ではいくつかのステップがあって、責任を認知して、次に善後策を講じる。さらにいろいろ検討したけれども、辞任するのが当然という結論に達する。しかし、辞めないという選択肢もあるわけです。
ところが日本の場合は突然「辞める」という選択肢に行ってしまう。つまり責任とは何かという理解がないのでステップが欠落してしまうわけです。だから、 「responsibility =責任」と丸覚えしてしまうのは極めて危険なわけです。