柴崎友香『次の町まできみはどんな歌をうたうの?』

立読み from 河出書房
from 偽日記

04/05/19(水)
柴崎友香『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』は、とても良い感じだった。
●柴崎氏の小説は、『きょうのできごと』でも『青空感傷ツアー』でも書き出しが鮮やかだったが、この小説も見事だ。まず、《高速道路のドライブは退屈だから嫌い。》という、どんな人物のものか分からない、ある「気分」がいきなり示され、その退屈さ(気分)が、それを感じている人物が特定されないままで、移動する車窓からの印象的な視覚的描写の展開へと転調し、その二つが結びつき、混じり合ってふわっと辺りに拡がる。