独創性originarityと創造性creativity

from ロック少年リハビリ日記 2004年5月19日

輸入権問題(というか正確には並行輸入盤規制問題)やWinny周りの議論の中で、「アーティストの創造性に直接報いるシステムができればすっきり解決する」とかいった意見がちらほら見られる。その辺、なんとなく「なんだかなー」感が否めないのでそれについて少し。
まず、独創性originarityと創造性creativityの区別をしておこう。前者は「かつて、あるいは他に存在しなかった個性的性質への志向」を、後者は「所与の現実に働きかけより高い価値の実現をめざす志向」を意味する。前者は他の存在との相違に焦点があり、後者は活動の質に焦点がある。つまり、「創造的な模倣」はあまた存在するが、「独創的な模倣」はいくぶんか、語義矛盾である。これらは一般にいう「アーティスティック」な活動の中にある方向性の異なりを区分するものと考えてもよい。独創的なもの、は他のものとの差異によってそのあり方を明らかにするものである一方、創造的なもの、とはそれそのものの力動性によって規定される。両者は似たものかもしれないが、そのベクトルが異なる。