『〈意味〉への抗い』北田暁大 著、せりか書房
【版元紹介文】マクルーハン以降の「メディア論」の可能性をベンヤミン、中井正一、ルーマン、キットラーなどの理論を再検討する一方、テレビ、ポピュラー音楽、広告、映画を貫くメディアの本質(媒介性)を文化政治学的文脈で捉える。2500円 46判280頁 ISBN:4796702563
Introduction メディア論の/という賭金 第1部 メディエーションの理論 第1章 観察者としての受け手 第2章〈意味〉への抗い 中井正一の「媒介」概念をめぐって 第3章 ヴァルター・ベンヤミン──反メディア論的省察 「メディア論」の文体をめぐって 第4章 リアリティ・ワールドヘようこそ リアリティ・テレビの現実性 第5章 RE-PLICATION複製 レプリカはアウラの衣を折り畳み、喪失の夢を見る 第2部 メディエーションの現場 第6章 ポピュラー音楽にとって歌詞とは何か 歌詞をめぐる言説の修辞/政治学 第7章 引用学 リファーする/されることの社会学 第8章〈キノ・グラース〉の政治学 日本−戦前映画における身体.知.権力 第9章 声の消長 徳川夢声からトーキーへ 執筆者紹介 北田暁大(きただ あきひろ) 1971年神奈川県生まれ。 東京大学大学院人文社会研究科博士課程単位取得退学。 専攻は理論社会学、メディア史。現在 東京人学大学院情報学環助教授。 著書『広告の誕止──近代メディア文化の歴史社会学』(岩波書店、2000年) 『広告都市・東京──その誕生と死』(廣済堂出版、2002年) 『責任と正義──リベラリズムの居場所』(勁草書房、2003年) ホームページ=http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Library/2948/
【関連リンク】深川狸汁亭雑記
後半の現場論の各章、特に「ポピュラー音楽にとって歌詞とは何か」と「引用学」はおもしろかった。歌詞論はライナーノーツによく見られるいいかげんな文章、一方で逆に批評空間のようなスノビ太な言説の生まれかたがよく分かる。また、引用学ははてなで盛り上がっていた「儀礼的無関心」のことが整理されていて、大いに参考になった。儀礼的無関心というのは、たとえば人気ブログが、ひっそりと日記を書いていた人のブログを紹介し、アクセスが殺到して荒らされたりして日記をやめてしまうこと。だれも幸せになっていないのだから、ネットではあえて無視する儀礼的無関心が必要なのではないか、いやネットに公開しているのだから予想できるだろう、という話題だ。
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