「ハルマゲドン本」『キャピタル・フライト─円が日本を見棄てる』木村剛 著

from 野口旭の「ケイザイを斬る!」 第10回 エコノミストたちの歪んだ水晶玉 ──経済学者はなぜ間違うのか http://hotwired.goo.ne.jp/altbiz/noguchi/040721/04.html

ここで、現在の日本に目を転じよう。そして、考察の対象をいわゆる経済学者だけではなく民間エコノミストにも拡げた上で、経済専門家として適切あるいは不適切な予見をしてきたのは誰なのかを考えてみることにしよう。民間エコノミストをも対象に含めるのは、「経済予測」というのは、日本ではどちらかとえば彼らの仕事と考えられているからである。さらに、各種メディアを通じた実際の政策への影響力という点では、客観的にみて、彼ら民間エコノミストたちの方がはるかに大きいからである。

筆者がここでサンプルとして取り上げるのは、2001年末に出版当時、キャピタル・フライト=円の暴落=ハイパーインフレというセンセーショナルな「予言」によって経済論壇を席巻した木村剛氏の著書『キャピタル・フライト?円が日本を見棄てる』(実業之日本社)である。この本を選ぶ理由は、主に三つある。第一に、この本は、一般読者が必ずしも十分な経済知識を持たないことにつけこみ、国家破綻や預金封鎖を仰々しく煽ることで人目を引こうとする、現在でも続々と出版されている「ハルマゲドン本」の最も成功した一冊となっている。

【関連リンク】『月刊!木村剛 vol.1「こんな年金改革で満足できるか?」』
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『月刊!木村剛』に引用されてしまった。不覚だ……。