『知脳革命─サクセスフル・インテリジェンス』

ISBN:4267014949。Robert.J.Sternberg。
from 認知科学徒留学日誌 id:cogni:20040710#p3

... 著者はYale大学の心理学部教授で、しかも小此木先生が翻訳しているという、非常に真面目な本。内容もいたって普通で、学問の知見をバックグラウンドに著者の知能理論を紹介し、知能改善のアドバイスを行うという、一般向けな本です。また著者は知能理論では有名で、良い評判の本を一杯出していますので、知らなかった人はチェックしてみて下さい。
知能研究において、知能とは何か、という問題はいつも研究者を悩ませているわけです。そこで著者は知能を三つに分けます。分析的知能、創造的知能、実戦的知能の三つです。IQが属するのは分析的知能になります。創造的知能はもちろん新しいアイデアなどの創造性についての能力です。実践的知能は非言語的、対人的なものを多く含むようです。この辺りの知能の分類は、著者らの実験による裏付けが幾分かありますし、本書でも紹介されています。この三つがそろって、successful intelligenceになる、というわけです。

ふむ。メモメモ。

本書内では創造性について面白い実験結果が報告されています。それは創造性に関して、「どちらかというと (領域が限定される) 特定因子が存在する」ということです。一般因子があるんだろうなぁ、と思っていた僕にとってはちょっとどっきりでした。まぁ「どちらかというと」ということなのですが。創造性を高めるためには、ハイリスクハイリターンを、という提言についてはちょっとなぁ、という気もします。もちろんこの提言にも著者らのアンケート結果という裏付けがあるのですが、あくまで創造性が高い人にはリスクを好む人が多くいる、という結果であって、ただ単に創造性発達のための学習回数が多かったからじゃないのかなぁ、って。まぁ、創造的知能を高められるってのは間違いじゃないわけですけれど。それだったらハイリスクじゃなくてもいいじゃん、っていうわけで。

特定因子は遺伝的なもの? そうではない?

本を読んでいる間、ずーっと頭の中に浮かんでいたのが、サピア・ウォーフの仮説で、やっぱり言語は思考を限定するよな、っていうことでした。

ラカンも同じようなこと言っていたなぁ。