バリューチェーン

from http://www.jama.or.jp/lib/jamagazine/200205/07.html

 サプライチェーン(供給連鎖)の上に乗って提供される価値の連鎖、それがバリューチェーンである。その価値(バリュー)とは顧客にとっての価値であり、サプライチェーンの終点の消費者から起動される需要(デマンド)チェーンとともにサプライチェーン、デマンドチェーン、バリューチェーンの3つの連鎖が、ビジネスのエコシステム(生態系)を形成している。生態系と言えば、自然界のフードチェーン(食物連鎖)を思い浮かべるが、ビジネスの生態系では、社会構成員である消費者が食物連鎖の最上位にいる。
 われわれ個人はビジネス社会では生産者(サプライチェーン構成員)であるとともに消費者(デマンドチェーンの大元)であり、ビジネス生態系で2つの役割を持って価値を伝達している。生産者としての立場よりも最終顧客である消費者にとっての価値がバリューチェーンを高度化し、サプライチェーンの仕組みを進化させる。
 図1に示すように自動車業界では、自動車メーカーを中心にバリューチェーンが形成されている。鉄鋼、ゴム、ガラスからタイヤなど部品メーカーから自動車メーカーに価値が連鎖して、さらにタクシー会社や運送会社、自動車整備会社、保険、ファイナンス、そして自動車産業のインフラ産業としての道路整備やガソリン、石油精製などもバリューチェーンを構成している。どんなすばらしい車でも、自動車メーカーだけではドライバーのバリューは実現できない。道路整備や、ガソリンスタンドがなければ自動車は何の価値もない。
 ガソリンスタンドや、道路が整備されていない江戸時代に車をタイムスリップさせて持っていけても、未来の社会から来た珍品として見世物にはなるかもしれないが、実用的価値は何もない。道路とガソリンスタンドがあっても車両整備工場がなければ、信号や交通警官などの社会の仕組みがなければ、安心して車のバリューを楽しむことはできない。ファイナンスや保険なども自動車のバリューチェーンを構成している。


図1 自動車メーカーを中心としたバリューチェーン


http://logistics.about.com/library/weekly/aa110600.htm
http://hbswk.hbs.edu/item.jhtml?id=1835&t=innovation