『Watching the English: The Hidden Rules of English Behaviour』

現代英国観察記:イギリス人の行動(ふるまい)の隠れたルール
Kate Fox (2004 [pbk:2005]) Watching the English: The Hidden Rules of English Behaviour. Hodder & Stoughton. ISBN:0340818867 ISBN:0340818859
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著者紹介■ Kate Fox(ケイト・フォックス) 社会人類学者、SIRC(Social Issues Research Centre)メンバー。イギリス出身。アメリカ、フランス、アイルランドで幼少時代を過ごした後、16歳でイギリスに帰国。著名な人類学者の父(ロビン・フォックス)を持ち、幼い頃から学者としての素質を磨かれる。人間行動や社会的相互作用に関する研究は定評があり、出版活動の傍ら、メディアでも多く活躍している。

from http://www.yohan.co.jp/interview/index.html

リサーチをしていて驚いたことはありましたか?
はい、ありました!こんな事を言うのは変ですが、私はイギリス人の本質に驚きました。それから、いかに私たちが、イギリス人とはこういうものというステレオタイプ、例えば、「謙虚」「偽善」「妥協」「階級主義」「公正」などといったものに縛られていたかにも気付きました。ステレオタイプで彼らを見ても、本質は見えてきません。そこには目に見えない複雑なルールが存在しているのです。また、私自身のイギリス人らしさにも驚きました。この本を執筆する前は、私に深く染み付いたイギリス人の習慣や本能や反動といったものに気付きませんでしたから。

日本とイギリスの文化の類似点はありましたか?
たくさんありました。相違点同様、共通点もたくさんあります。私たちは共にNegative-politenessの文化を持っています。他人に対してあてつけたり、押し付けたりしないことを強調した、控えめな礼儀正しさです。(これに対し、Positive-politenessの文化は、他人を受け入れたり、社会の承認を得るための礼儀正しさ)イギリス人がよくやってしまうことで、日本人にもある習慣は、反射的に謝ってしまうことです。(中略)

あなたはイギリス人であることに誇りを持っていますか?
まあ、困った質問ですね! 私はイギリス人ですから、誇りといったものにはとても違和感を感じるし、愛国心を誇示することにも戸惑ってしまいます。私たちの行動基盤である「謙虚さ」に反していますからね。もちろんこれは偽善であって、イギリス人は他国の人々よりも謙虚でも慎み深くもありません。ただ私たちは、謙虚であることに価値を置き、自身を卑下したり、特に冗談ぽく自己非難することをよしとしているのです。だけど私は、この本を執筆したり研究したりすることで、自国の文化をより正しく認識できました。むしろ私たちの欠点や弱点について寛大に受け止めることができました。たぶん、フランス人が言うところの、「すべてを理解することは、すべてを許すこと」でしょうか?