The Embodied Mind : Cognitive Science and Human Experience

Verela, Francisco J. /Thompson, Evan /Rosch, Eleanor, MIT Press, 1993/01
ISBN:0262720213

Image  Image

『身体化された心─仏教思想からのエナクティブ・アプローチ』
ヴァレラ,フランシスコ/トンプソン,エヴァン/ロッシュ,エレノア著、田中靖夫 訳、工作舎 200108 ISBN:4875023545

■目次

序論 第1部 出発の根拠
 第1章 根元的な循環性:反省する科学者の心
      既定条件 / 認知科学とは何か? / 循環する認知科学
 第2章 「人間経験」とは何か
      科学と現象学的な伝統 / 現象学の瓦解 / 非西洋的な哲学伝統
      三昧(マインドフルネス)/覚(アウェアネス)の方法を用いた経験の検討
      経験の分析における反省の役割 / 実験と経験分析

第2部 認知主義の多様性
 第3章 記号:認知主義の仮説
      不確かな基礎 / 認知主義仮説の定義 / 認知主義の現れ
      認知主義と人間経験 / 経験と計算する心
 第4章 嵐の私(I:アイ)
      「自己」の意味 / 五蘊のなかに自己を捜すこと
       色蘊:身体
       受蘊:感受作用
       想蘊:表象
       行蘊:形成作用
       識蘊:意識
      刹那と脳 / 自己のない五蘊

第3部 創発の多様性
 第5章 創発特性とコネクショニズム
      自己組織化:ある選択肢の根源 / コネクショニストの戦略
      創発と自己組織化 / 今日のコネクショニズム / ニューロン創発
      記号の退場 / 記号と創発を関連づけること
 第6章 自己のない心
      心の社会 / 対象関係論の社会 / 縁起(共依存的な生起)
      ダルマ分析 / 三昧と自由
      自己のない心:分割されたエージェント
      世界に留意(マインド)すること

第4部 中道へのステップ
 第7章 デカルト主義の不安
      不満の感覚 / 表象再考 / デカルト主義の不安 / 中道へのステップ
 第8章 行為からの産出:身体としてある認知
      常識の回復 / 自己組織化の再検討 / ケーススタディとしての色
      身体としてある行為としての認知 / 自然選択への退却
 第9章 進化の道程とナチュラル・ドリフト
      適応主義:生物変移の考え方 / 様々なメカニズム / 進化:生態学と発生の同調傾向
      ナチュラル・ドリフトとしての進化から学ぶこと / エナクティブ・アプローチの定義
      エナクティブ認知科学

第5部 根拠なき世界
 第10章 中道
      無根拠性の喚起 / ナーガールジュナと中観派の伝統
      二つの真理 / 現代思想における無根拠性
 第11章 踏みしめつつ道をつくること
      循環している科学と経験 / ニヒリズムと惑星思考の必要性 / 西谷啓治
      倫理と人間の変容

■著者紹介
◎フランシスコ・ヴァレラ: 1946年、チリに生まれる。生物学者(認知科学)。フランス国立科学研究センター研究部長。軍事クーデターによるアジェンデ社会主義政権の崩壊後、政治的弾圧を逃れて亡命を余儀なくされる。邦訳書に『オートポイエーシス』『知恵の樹』(共にマトゥラーナとの共著)がある。2001年5月、パリにて死去。
エヴァン・トンプソン: カナダ・ヨーク大学の哲学科助教授。専門は認知科学の哲学的基礎の研究。著書に、Colour Vision: A Study in Cognitive Science and the Philosophy of Perception がある。
◎エレノア・ロッシュ: アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の心理学教授。