阿部和重対談集

阿部和重対談集

阿部和重対談集

【引用元】偽日記
http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/nisenikki.html

阿部氏はおそらく凄く真面目な人なのだと思われ、対談する相手の本を綿密に読み込み、質問等も前もって考えてあるのじゃないかと感じられて、特に相手が女性作家である時に顕著なのだが、その結果として対談というより、阿部氏によるインタビューのように感じられてしまうことがある。(最もそう感じられたのは赤坂真理との対談だった。)対して、高橋源一郎保坂和志など、年長で同性の同業者との対談では、対談ぽくなっているのだが。

阿部氏の生真面目なサービスは、相手が赤坂真理桐野夏生の時はそれなりに効果をあげていて、相手を気持ちよくさせ、のった話を引き出すことに成功している(とはいえ「対談」という感じではないのだが)と思えるのだけど、角田光代は、阿部氏の必死の努力にも関わらず、サービスに食いついてこなくて、終始ペースがかわらない。そのため阿部氏の語りは空転しはじめ、暴走ぎみになる。(角田氏はしらけているのでは決してないが、終始自分のペースを崩さないのだ。)まず、この対比がとても面白い。そして、空転し暴走ぎみの阿部氏の語りは、まるで「阿部和重の小説」の登場人物のような感じになってゆくのだった。