都市の未来 - 創造的階級は住みたい所で仕事を探す(OutLogic)

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『The Rise of the Creative Class』の著者、リチャード・フロリダが、日本経済新聞(2005.8.5)の経済教室「都市の未来」(最終回)に論文を掲載しています。
(中略)
住みたい所で仕事を探す
いま、新しく世界の創造的階級を呼び込んでいる都市は、シドニーメルボルンバンクーバートロントストックホルムアムステルダム、ダブリン、バルセロナといった都市圏だそうです。いわば、世界の人材を吸い寄せる磁石のような存在。

引用:
この新しい競争のカギを握るのは、才能あふれる創造的階級である。彼らは驚くほど流動的で、多くの経済学者や経営者が考えるようなやり方では自分の居場所を定めない。
カネや仕事を追いかけるスタイルに魅力を感じない今日の創造的階級は、まず最初に自分が住みたい場所(1ヶ所とは限らない)を選び、そこで仕事を探す。
こうした人材を引きつけるには、国や都市が厚みのある労働市場の形で経済的機会を提供しなければならない。

その理由は、、、
「創造性は既存の社会的カテゴリーにはまったく頓着しない。創造的活動はあらゆる形、規模、色をとりうる。従って当然ながら、最も多様な人間やアイデアが集まるところに花開く」というのである。
キーワードの1つは、「許容度」(トレランス)です。

引用:
国や都市の許容度が高ければ、つまり新しい発想・人材に対して開かれていれば、そこに流れ込んでくる人材や経済活動を活用することが可能になる。社会経済的階級、宗教、民族、性別、生活様式、年齢層、家族構成、性的傾向を問わず、多様な人材を喜んで受け容れる環境こそが、経済資源を拡大するうえで有利になる。創造性の時代には、経済成長を担うのは人材(タレント)なのである。

▼上記の記述の「都市」を「人の集まるところ」と置き換えて考えてみよう。「人の集まるところ」は「関係(性)」が増大する場所である。もし「関係(性)」が絶えず増大し続けなければ、人が集まり続けることはない。つまり、衰退していく。人が集まり続けるには、フロリダの言う「創造的階級」の人たちが<そこ>に居続けようとしなければならない。なぜなら、「創造的階級」の人たちは積極的に未来、目の前の生活、自らの思考を改変し、デザインする力を持っているからである。
フロリダは「創造的階級」の人たちを「科学者、技術者、起業家、芸術家、エンターテイナー、デザイナー、知識労働者たち」と限定しているが、これは狭窄した見方のように思える。そうではない。私たちは皆、自らを変革する可能性を持っている。主体的に自らを変革する力、それは「自らが存在している場をデザインする力」だと言ってよいだろう。
私たちが属している場、つまり、都市、地域共同体、企業組織、あるいは家庭さえも「デザイン」の対象となる。その「デザイン」を行うことにより、企業においてはイノベーションが生じるのだろうし、都市なり共同体では文化が花開くのだろうし、家庭においてはより充実した生活が送れるようになるのだろう。もちろん、これは言うほど簡単なことではないかもしれない。だが、誰もが行えることであることも確かだろう。