『ビジネスマン 価値逆転の時代―組織とライフスタイル創り直せ』

原書名:THE AGE OF UNREASON〈Handy, Charles〉
チャールズ・ハンディ著、TBSブリタニカ、1994 ASIN:4484941074

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リチャード・コッチの『戦略集中講義』で勧められていました。

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 1976年以来、彼は紋切り型の経営心理学・組織行動論の教授から、仕事と社会に関する画期的な思想家へと変化を遂げている。ハンディの著書を読む喜びは、生き生きとした文章に浸ることにあるため、概要を述べたところでそのおもしろさは伝えられない。彼の最も重要な3つの考え方は、「シャムロック」型組織、仕事の「ポートフォリオ」、企業の「連邦型」構造であろう。

 シャムロック型組織は、「必須の経営幹部と従業員をコアとして、それを外部の契約社員やパートタイム労働者が支えるという考え方に基づいている」。その考えは、アウトソーシングが流行するはるか前の1989年に書かれた彼の著書(私の考えでは、今でも彼の最高傑作である)『ビジネスマン 価値逆転の時代』で探求されている。ハンディはトム・ピーターズに先駆けて、近い将来、成功した企業はどれもコンサルタント業や広告代理店のような専門サービス組織に類似してくるだろうと予測した。コアとなるスタッフは大いに働かされて高い報酬を受け取り、企業の中核となるが、「支援者」は代替可能、交換可能で重要ではなくなるだろうというものだ。

 核となる労働者は、階層よりも、個々人の付加価値に基づいた実力主義社会を形成すると思われる。「賢明な人々は労働者や経営者としては容易に定義づけられず、個人として、専門家やプロフェッショナルとして、あるいは経営幹部やリーダーとして位置づけられる …… そして変化のペースに遅れないために、彼らは必死に学び続けなければならない」。

 ハンディは、フルタイムの仕事が時代遅れになるだろうと予言する。生涯の総労働時間は半分になり、仕事と遊びの境界が曖昧になるだろう。個人は1つの仕事ではなく、種々の活動の「ポートフォリオ」を追求し、報酬のある仕事、無報酬の仕事、勉強、自宅での仕事やレジャーに時間を区分して使うことになる、と。


そのほかに邦訳されているものとして以下のものがあります。

●もっといい会社、もっといい人生 : 新しい資本主義社会のかたち [The Hungry Spirit]/ チャールズ・ハンディ著 ; 埴岡健一訳. -- 河出書房新社, 1998 

もっといい会社、もっといい人生―新しい資本主義社会のかたち

もっといい会社、もっといい人生―新しい資本主義社会のかたち

ディオニソス型経営 : これからの組織タイプとリーダー像[Gods of Management] / チャールズ・ハンディ著 ; 広瀬英彦訳. -- ダイヤモンド社, 1982 ISBN:4478410151

パラドックスの時代 : 大転換期の意識革命[The Age of Paradox] / チャールズ・ハンディ著 ; 小林薫訳. -- ジャパンタイムズ, 1995  ISBN:4789007987
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