書き出し大全 その3 池田謙一「コミュニケーション形態の変化と世論の重層性を考える」

池田謙一「コミュニケーション形態の変化と世論の重層性を考える」(月刊「UP」2006年6月号 東京大学出版会

小泉政権の五年あまりの年月は、世の中の動くさまを見たという実感を多くの人々にもたらしたようである。「小泉劇場」や「ポピュリズム」という形容は、一人のアクターが世論を大いに攪拌(かくはん)し、これを動かしたかのようにも見える。一方でこの年月の間には、ポピュリズムの語で連想されるような一元的な世論の動きとは異なる契機も見え、社会の底流に流れる大きな変化が露頭してきているようにも思われる。小論では、近年のコミュニケーション形態の変化、なかんずく非マス媒体の変化がもたらしうるそうした契機について検討したい。

インテリな書き方の典型。ちょっと難しい書き方だが、内容はよい。『重層的な世論形成過程』の書評。

重層的な世論形成過程―メディア・ネットワーク・公共性

重層的な世論形成過程―メディア・ネットワーク・公共性