『ノーベル賞科学者のアタマの中―物質・生命・意識研究まで』
id:deepbluedragon:20061015 で言及されていたので読んでみました。これはわかりやすくてよいですね。
『ノーベル賞科学者のアタマの中―物質・生命・意識研究まで』青野由利 著、 築地書館、1999 ■ 正統派の科学でノーベル賞まで受けた科学者たちが、なぜ「意識」研究にのめりこんで行くのか。世界をリードする科学者たちへのインタビューを交えながら、現代科学の可能性と限界、そして意識研究の近未来までを展望する。序文:下條信輔・カリフォルニア工科大学教授
目次・内容 >> 築地書館 http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN4-8067-1187-X.html
- 作者: 青野由利
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 1999/09
- メディア: 単行本
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コラム「意識研究者の派閥」(111-112頁)より ※氏名表記修正
「あなたって、神経細胞の塊に過ぎないのよ」派 意識は脳細胞の働きの産物なので、視覚や記憶など脳の働きを解明すれば意識も解明できると考える神経科学者の派閥。クリック*1やクリストフ・コッホ*2が派閥のドン。
「問題はむずかしい」派 認知哲学者のデイヴィッド・J. チャーマーズ*3を親玉とする派閥。たとえ視覚や言語、記憶のメカニズムが解明されても、どのように主観的経験が生じるのかという「むずかしい問題[ハードプロブレム]」を解かなければ意識はわからないと考える派閥。
「コンピュータだって意識を持つ」派 哲学者のダニエル・デネット*4やマービン・ミンスキー*5の派閥。機械だって意識を持つと考える機能主義者の集まり。チャーマーズのいう「むずかしい間題」の存在そのものを否定する。
「認知心理学」派 人間相手の認知心理学こそ、意識研究をとく鍵だと考える人たちの集まり。注意、記憶、言語などがキーワード。「あなたって、神経細胞の塊にすぎないのよ」派と一部オーバーラップする。
「複雑系創出」派 数理物理学者のアーウィン・スコット*6に代表される派閥。意識のように複雑なものは、従来の還元主義では理解できず、それを構成する下位レベルから新しい性質が「創出[創発]」した結果生まれたものだと考える人たち。
「量子力学」派 ロジャー・ペンローズ*7やスチュアート・ハメロフの派閥。量子力学には不思議な性質がいろいろある。意識にもそれとよく似た不思議な性質があるので、意識を解く鍵が量子力学にあると考える。
「神秘主義」派 脳の働きをどんなに科学的に調べてみたところで、意識の謎は解けないという立場。
「超心理学」派 テレパシーや超能力の存在は明らかで、これが意識の神秘の中心にあると考える人たち。
*1:『DNAに魂はあるか』ISBN:4061542141
*2:『意識の探求 ― 神経科学からのアプローチ』ISBN:4000050532 ISBN:4000050540
*3:『意識する心 ― 脳と精神の根本理論を求めて』ASIN:4826901062
*4:『解明される意識』 ISBN:4791755960
*5:『心の社会』ISBN:4782800541
*6:『心の階梯』 ISBN:4782801084
*7:『皇帝の新しい心』ISBN:4622040964 『心の影』ISBN:462204126X ISBN:4622041278