『MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方』(ミンツバーグ)

MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方』ヘンリー・ミンツバーグ著、池村千秋訳、日経BP社、2006 ASIN:4822245160 詳細情報はこちら >> 日経BP書店 書籍紹介−MBAが会社を滅ぼす

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Managers Not MBAs: A Hard Look at the Soft Practice of Managing and Management Development

Managers Not MBAs: A Hard Look at the Soft Practice of Managing and Management Development

【主要目次】
PART1 MBAなんていらない
1.間違った人間
2.間違った方法
3.間違った結果(1) - 教育プロセスの腐敗
4.間違った結果(2) - マネジメント実務の腐敗
5.間違った結果(3) - 既存の組織の腐敗
6.間違った結果(4) - 社会制度の腐敗
7.新しいMBA?
PART2 マネジャーを育てる
8.企業のマネジャー育成
9.マネジメント教育の構築
10.マネジャーの育成 (1) - IMPMプログラム
11.マネジャーの育成 (2) - 5つのマインドセット
12.マネジャーの育成 (3) - 職場における学習
13.マネジャーの育成 (4) - 学習のインパクト
14.マネジャーの育成 (5) - イノベーションの普及
15.本物のマネジメントスクールをつくる

▼著者は1939年生まれ。著名な経営学者で、現在はカナダのマギル大学経営大学院教授。主な著書に『人間感覚のマネジメント』『マネジャーの仕事』など。

MBAをかなり厳しく攻撃していますが、ではどうすればよいか(IMPMプログラム)まで述べていて説得力あります。日本のMOTプログラムでも参考にしてほしいですね。ミンツバーグに賛成するか否かにかかわらず、一読の価値あります。

同書348-349頁より。

関与型のマネジャーはおおむね、治療(キュア)より世話(ケア)を好む。すぐにメスを振るいたがる外科医と違って、なるべく手術を避けようとする。ピラミッド型組織の頂点に君臨するのではなく、ネットワーク型組織のあちこちに顔を出す。このようなマネジャーにとって、戦略は天から落ちてくる雷のようなものではなく、みんなで地面に植える樹木のようなもの。「私が考えて、君たちが行動する」というのがヒーロー型マネジャーの信条だとすれば、関与型マネジャーの信条は「みんなで夢を見て、みんなで行動する」というものだ。

以下の図は349頁より。

図9.9 ヒーロー型マネジメントと関与型マネジメント

●ヒーロー型マネジメント ●関与型マネジメント
1 マネジャーは偉い人で、製品開発や顧客サービスに携わる人たちとは別世界の住人である。 1 マネジャーに求められるのは、製品開発や顧客サービスに携わる人たちをサポートすることである。
2 マネジャーは「上」に行けば行くほど偉くなる。「トップ」に座るCEOは会社そのものである。 2 有能なリーダーは、ピラミッド型組織のてっぺんに腰掛けているのではなく、ネットワーク型組織のあちこちで活動する。
3 明快で大胆な戦略は、ドラマティックな行動を取るCEOの熟慮により生まれ、トップダウンで指示される。下々の人間は、言われた通りにその戦略をr実行」するだけ。 3 戦略は、ネットワークの中から生まれる。人々が積極的に参加し、小さな問題日を解決することを通じて、大きなことが成し遂げられる。
4 戦略を実行に移すのは簡単でない。CEOは変化を推進するつもりでも、大半の従業員は変化を拒む。だから、インサイダーよりアウトサイダーを重用する必要がある。 4 戦略を実行するのは簡単でない。戦略の実行は、戦略の策定と切り離せないからだ。だから、上層部やアウトサイダーの押しつける不適切な変革案をはねつけるために、献身的なインサイダーの存在が欠かせない。
5 マネジメントの仕事は、意思決定と資源(人的資源を含む)の分配。したがって、マネジメントとは、報告書のデータをもとに分析や計算をおこなうことである。 5 マネジメントの仕事は、スタッフのポジティブなエネルギーを引き出すこと。したがってマネジメントとは、文脈に根ざした判断をおこない、人々を引っぱり込むことである。
6 業績向上のご褒美は、リーダーが受け取る。重要なのは、数字で計れるものだ。 6 組織を改善したことによるご褒葵は、組織内のすべての人間に行き渡らなくてはならない。重要なのは、人間的価値。その多くは、数字で計算できない。
7 リーダーシップは、自分の意思を他人に押しつけようとする人間が担う。 7 リーダーシップは、他人に敬意を払うことによって獲得する信頼である。