『知についての三つの対話』(ちくま学芸文庫)

『知とは何か』(新曜社 1993年刊 ISBN:9784788504561)の改題。
『知についての三つの対話』ポール・K.ファイヤアーベント著、村上陽一郎 訳、ちくま学芸文庫、2007 ISBN:9784480090829

ポール・K・ファイヤアーベント(Feyerabend, Paul K.)
1924−94年。ウィーン生まれ。天文学、物理学を学んだ後、カール・ポパーに師事。UCLAバークレイ校、チューリヒ工科大学などで教鞭を執る。多様な価値観の共存が科学や知の原動力であるとした。「好戦的哲学者」「知のアナキスト」と評された20世紀の最も独創的な科学哲学者の一人。著書に『方法への挑戦』『自由人のための知』『理性よ、さらば』、自伝『哲学、女、唄、そして…』など。

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哲学、女、唄、そして…
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『哲学、女、唄、そして…──ファイヤアーベント自伝』ポール・ファイヤアーベント著、村上陽一郎 訳、産業図書 、1997 ISBN:9784782801031 (4782801033) B6 本体2600円 ■ 本書は類い稀な人生の記録である。ポール・ファイヤアーベントという、今世紀最も独創的で、最も影響力の大きかった知識人の一人が自ら綴ったこの物語は、その死の僅か数週間前に完成した。物理学と天文学の素養を持ったファイヤアーベントは、科学哲学者として最も著名な人物だった。しかし、この一般によく知られた人物の個人的な生活についてはほとんど誰も知らなかった。彼は、ヴィーンの中流の下の階層に生まれ、国際的な学問の世界に名をなすまでの自らの軌跡を跡付ける。彼は、抑え難い熱意と徹底した誠実さで、ナチ時代の生活や、ロシア戦線でのドイツ陸軍での体験を書き綴る。その戦場で彼は3発の弾丸を浴び、その結果、生涯の障害を負い、不能に悩まされ、死を迎えるまで続く苦痛と戦わなければならなかった。オペラ・テナーとしての約束された才能と音楽への自らの不朽の熱情、ヴィトゲンシュタインからブレヒトに至る様々な人物との出会い、無数の恋愛事件、4回の結婚、同時に四つの大学から終身在籍権を保証されたほどの圧倒的なキャリアなどを、彼は淡々と振り返る。学問的な自伝として書かれたものではないが、本書は60年に亙る世界の人間、思想、そしてそれらのせめぎ合いを、見事に跡付ける。