『漢文脈の近代 清末=明治の文学圏』+『漢文脈と近代日本 もう一つのことばの世界』

『漢文脈の近代 清末=明治の文学圏』齋藤希史 著、名古屋大学出版会、2005/02 A5判・上製・336頁・本体5500円 ■ 19世紀後半から20世紀にかけて、かつてないほど相互に交通しあった日本と中国――そこに生じた「漢文脈」の新たな展開と可能性を、書くことと読むことの場に即して捉え、文学史・小説・翻訳・作文などをめぐる様々な試み・思考・葛藤を通して、近代の再考を促す画期的論考。<第27回サントリー学芸賞受賞>
書評 >> 見もの・読みもの日記 http://blog.goo.ne.jp/jchz/e/c26f253e6a908c5eec0a0838c7ee5ac3 http://blog.goo.ne.jp/jchz/e/df986e166d13d8017f38c6782442ea8a

目次:
第I部 〈支那〉と〈日本〉
  第1章 文学史の近代――和漢から東亜へ
  第2章 「支那」再論

第II部 梁啓超近代文学
  第3章 新国民の新小説――文学観念形成期の梁啓超
  第4章 「小説叢話」の伝統と近代
  第5章 官話と和文――梁啓超の言語意識

第III部 清末=明治の漢文脈
  第6章 小説の冒険――政治小説とその華訳
  第7章 『浮城物語』の近代
  第8章 明治の游記――漢文脈のありか
  第9章 境界の文体――森田思軒論

第Ⅳ部 今体文のメディア
  第10章 『記事論説文例』――銅版作文書の誕生
  第11章 作文する少年たち――『穎才新誌』創刊のころ
  終 章 象徴としての漢字――フェノロサと東洋

漢文脈の近代―清末=明治の文学圏―

漢文脈の近代―清末=明治の文学圏―

『漢文脈の近代 清末=明治の文学圏』は、ちょっと高いなぁと思っていたら、NHKブックスから新刊が出ていた。
『漢文脈と近代日本 もう一つのことばの世界』NHKブックス齋藤希史 著、2007/02 ISBN:9784140910771 ■ 漢文は、言文一致以降すたれてしまったのか、それとも日本文化の基盤として生き続けているのか? 本書は漢文の文体にのみ着目した従来の議論を退け、思考様式や感覚を含めた知的世界の全体像を描き出す。学問と治世を志向する漢文特有の思考の型は、幕末の志士や近代知識人の自意識を育んだ。一方、文明開花の実用主義により漢文は機能的な訓読文に姿を変え、「政治=公」から切り離された「文学=私」を形成する。近代にドラスティックに再編された漢文脈を辿る意欲作。

序章 漢文脈とは何か―文体と思考の二つの極
第1章 漢文の読み書きはなぜ広まったのか―『日本外史』と訓読の声
第2章 国民の文体はいかに成立したのか―文明開化と訓読文
第3章 文学の近代はいつ始まったのか―反政治としての恋愛
第4章 小説家は懐かしき異国で何を見たのか―艶情と革命の地
終章 漢文脈の地平―もう一つの日本語へ


こちら(↓)はいずれ。
『日本を意識する』講談社選書メチエ齋藤希史 編、2005/04 ISBN:4062583275東京大学教養学部比較日本文化論分科で行われた、リレー形式のテーマ講義「ジャパン・コンシャス?−日本を意識するとき」をまとめる。日本のすがた、外からの日本、日本の自意識、開かれる日本の4部で構成。

収録作品一覧:
異文化体験で私は何を発見したか  	義江彰夫 著 12−37
立ち現れた「日本語」のすがた 	鈴木広光 著 38−61
日本女性の不可解性と理想化 	大澤吉博 著 64−88
脱和入欧の心理 	菅原克也 著 89−112
周作人の日本 	伊藤徳也 著 113−131
どのようにしてこの国の名が「日本」となったか 	神野志隆光 著 134−153
唐土にたたずむ貴公子たち 	三角洋一 著 154−175
「物のあはれ」の日本 	杉田昌彦 著 176−198
時代観察の方法 	徳盛誠 著 200−220
明治零年代の「繁昌」 	ロバート キャンベル 著 221−243
旅人の自画像 	齋藤希史 著 244−268

日本を意識する (講談社選書メチエ)

日本を意識する (講談社選書メチエ)