『国のない男』(カート・ヴォネガット)
from 人生で大切なことは全て撞球場で学んだ。(by マツシマ ミチアキ) http://blog.goo.ne.jp/matsushima-m/e/4a51ee47c8c79b4f6a9e55f91d13bff5
ヴォネガットと言えば早川、それはもう、ある意味で宇宙の法則にも似たようなものであって、だから今回他社から刊行されることに、多くの人が驚いているのではないだろうか。僕だってその一人だ。なんで早川は版権を取らなかったのだろう?(もしかしたらビッドしていたのかもしれないけれど……)。思うに、ヴォネガットは97年に『タイムクエイク』で小説の断筆宣言をした後、Seven Storiesからエッセイを2冊出していて(Seven Storiesの社長とヴォネガットが仲が良かったのだという)、それはいずれも日本では未訳になっている。早川はやらなかったわけで、本書もその流れでスルーしたのかもしれない。まさかヴォネガットが亡くなるとは思わずに。まさか本書が遺作になるとは思わずに……。
だから、早川書房+浅倉久志(あるいは伊藤典夫)ではない本にしたかった。早川から出ないのなら、みんなの期待をいい意味で裏切る一冊にしたかった。ヴォネガット+金原瑞人+NHK出版(!)、それに装幀はヴォネガットの顔写真。それが奏功したかどうかは読者とマーケットの審判にゆだねるとして、その志は達成できたと胸を張って言える。
恵文社一乗寺店 店長日記(http://d.hatena.ne.jp/keibunsha/)によると、SFマガジン 2007年9月号がヴォネガット特集とのこと。以下、同日記より。
マイケル・ムーアは彼の最新作『シッコ』でカート・ヴォネガットに対して献辞を捧げているそうです。
"Thank You Kurt Vonnegut for Everything"
そんな記事をSFマガジンの最新号で目にしました。なるほどヴォネガットによる晩年の、直接的なブッシュ批判スピーチを読むとうなずける話です。そのヴォネガット追悼特集号では、本人への晩年のインタビューから邦訳全作品解題、周辺作品ガイドまで、親切な編集です。
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