スティーヴン・ジョンソン『創発〜蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク』ISBN:4797321075

そうか。仲俣さんが面白いと言うのなら、読んでみようかなと思う。 期待しすぎないように。
(追記)さまざまな思想・概念・人を組み合わせる名人芸が見られる?

この本の冒頭には、ヒトの脳をタテに切ったときの断面図と、ハンブルク市の古い地図が並べて掲げられており、両者の類似を示すところからジョンソンは議論を始めている。こうした手法もたしかに、ぼくらの世代にとっては「懐かしき80年代」的ではある。ジョンソンはこの両者の図があまりに「似ている」ということの驚きから、この本全体をつらぬく「創発=Emergence」、つまり自己組織化が高次の価値を発生させるメカニズムという主題について、都市と脳、蟻塚、「シムシティ」、「スラッシュドット」といった話題を次々に繰り出しながら、軽やかに(そう、この「軽やか」という感じがまた80年代日本風なのだ)論じていく。また、そもそもこの「自己組織化」という言葉は、カオス理論やリゾームといった概念と同様(あるいはパーソナルコンピュータやインターネットの発想と同様)、官僚的でトップダウン的なコントロールよりも、自発的でアナーキーボトムアップ的な運動の方がクリエイティヴ(そもそもCreationとは生物進化の意味でもある)である、という「1960年代末的な知的伝統にのっとった80年代的(=新人類的?)な意匠」の象徴だった。このあたりは、本書を読む上で、いちおう踏まえておく必要があるだろう。〔id:solar:20040320#p2 より〕

【関連リンク】創発 − 蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク from Passion For The Future(橋本大也