『 きょうのできごと A DAY ON THE PLANET』

from 人間は編集する動物である 3月25日木曜のできごと より

柴崎友香きょうのできごとISBN:4309013287。この「静かさ」「やわらかさ」が映像化への欲望を刺激したんだろう…そう思わせる佳品。作法としてはちょっとコンサバかもしれない。どっかの批評家がJ文学とかミニマニリズムとか引きあいにだして論じてそうな気もする。でも、『蹴りたい背中』より『蛇にピアス』よりぜんぜんいいと思う ... 『きょうのできごと』は、21世紀初頭の若者たちが年をとってからもずっと大切にする、特別な映画になりうるのかもしれない。70年代末の京都で学生時代をすごした人たちにとって、『ヒポクラテスたち』が忘れがたい映画となったように。ぼくには、80年代という「空虚な作品」のそばをぼんやり通りすぎた感覚と、京一会館〔「まぼろし映画館・京一会館大博覧会」〕の思い出が残されているだけだ。