『思想なんかいらない生活』勢古浩爾 著、ちくま新書

目次
第1章 知識人にご用心
第2章 「ふつうの人」、インテリに叱られる
第3章 いったいなんのための思想か
第4章 インテリさんがゆく
第5章 本は恥ずかしい
第6章 勝手に「大衆」と呼ばれて
第7章 思想なんかいらない生活

from 深川狸汁亭雑記

最初はまたぞろ獰猛ぶりっこのライターが人の悪口を書き散らしたのかと思ったがまったく違う。相当の覚悟と信念を持って書いたのだろう。すばらしい仕事だと思う。
前半は、文化人・学者をめった斬りにする。「難解王」柄谷行人は「何の意味もない」、蓮見重彦は「説話論的な俗物」だし、大澤真幸は「虚仮おどしにすぎない的概念(素人からの理解を拒否)」、福田和也は「要するに書いていることに信頼性がない」。竹田青嗣だけは「わかる」ということで一定の評価をするが、「それがなんなのか、その意味がわからない」と書く。
著者自身が、こうした知的ディレッタンティズムにずぶずぶと浸かる人生を歩んできて、50半ばにして「ああなんてくだらないんだ」と気づいたことの強みがある。(以下略)