「精神疾患は脳の疾患である」グリージンガー

from みずもり亭日誌 2004/06/03

●この日の講義には、近代精神医学の泰斗のひとりW・グリージンガー(p.174)が出てきた。彼は確かに「精神疾患は脳の疾患である」という言葉で有名なのだが、これは言葉通りに読むと誤解が生じる可能性があるらしい。実は彼は、疾患の分類ばかりに目を向けていた当時の医学を批判し、医学の視点を病人に戻す準拠点として脳に着目した、と最近の研究で解釈され直されている(市野川容孝「医療という装置」栗原彬ほか編『越境する知(4)装置 壊し築く』東大出版会、2000年)。