『知識の社会史 ─知と情報はいかにして商品化したか』ピーター・バーク著、新曜社

井山弘幸・城戸 淳 訳、B6判上製408頁・定価3570円(税込) ISBN:4788509105

◆知識と情報の大パノラマ的展望!◆「グーテンベルクからディドロまで」という原書の副題が示しているように、15世紀の印刷革命から18世紀の『百科全書』までにわたって、人類がいかにして知識を発見し、獲得し、分類し、管理し、商品化したかを、パノラマ的に展望したもので、印刷、雑誌、図書館、博物館、喫茶店、株式、交易、旅行、スパイ、教会、アルファベット順、索引、脚注、学者・知識人など、知と情報に関わるあらゆることを取り上げて分類・整理し、見事な眺望を与えてくれます。いまでは当たり前と思われている索引や注や目次がどのような変遷を経てきたかなど、興味は尽きません。〈知の社会史〉の定番となるでしょう。

第一章 知識と社会学の歴史
 知識社会学の興隆/知識社科学の復興/知識の社会史/知識とは何か?/知識の複数性
第二章 知識を生業とする-ヨーロッパの〈知識人〉
 連続と断絶/中世/印刷術のもたらしたもの/教会と国家における機会/構造的分化/
 集団的アイデンティティ/イスラム世界と中国
第三章 知識を確立する−古い機関と新しい機関
 ルネサンス/科学革命/啓蒙主義/結論と比較
第四章 知識を位置づける−中心と周縁
 書物の共和国/長崎と出島/現場と研究/知識を輸入するということ/知識の首都/
 図書館の地理学/都市それ事態の情報源となる都市/知識を処理する/
 知識を普及させること/地球規模での発見
第五章 知識を分類する−カリキュラム・図書館・百科事典
 知識の人類学/さまざまな知識/ディシプリンと教えること/カリキュラムの編成/
 図書館の秩序/百科事典の配列/主要論文集/体系の再編成/再編されるカリキュラム/
 図書館の再配列/博物館を整理する/アルファベット順になる百科事典/学問の進歩/結論
第六章 知識を管理する−教会と国家
 官僚制の興隆/模範としての教会/外務行政/情報と帝国/国内行政/国の地図をつくる/
 統計の興隆/情報の保存と引き出し/検閲/情報の普及
第七章 知識を売る−市場と出版
 知的財産の発生/産業スパイ活動/商業と情報/情報とVOC/証券取引の出現/
 印刷と、知識の販売/十六世紀のヴェネチア/十七世紀のアムステルダム/
 十八世紀のロンドン/新聞と雑誌/参考図書の増大/百科事典/比較と結論
第八章 知識を獲得する−読者の役割
 読書と受容/参考図書/アルファベット順/歴史研究の助けになるもの/
 個人が占有する知識/モンテーニュからモンテスキューまで/他文化の知識を得ること
第九章 知識を信ずることと疑うこと
 ピュロン主義の復興/実践的懐疑主義/幾何学的方法/経験主義の興隆/脚注の発達/
 信じやすさ、疑い深さ、そして知識の社会学
訳者あとがき
注/参考文献/事項索引/人名索引

原書名: A Social History of Knowledge: From Gutenberg to Diderot
by Peter Burke Polity Press, 2000 ISBN:0745624855