人格障害という命名
from EP : end-point 科学に佇む心と体: 人格障害という命名の暴力と位置関係
以下の4冊をレビューしている。
- 『人格障害とその治療』町沢静夫著 創元社 2003
- 『境界性人格障害=BPD(ボーダーライン・パーソナリティー・ディスオーダー) はれものにさわるような毎日をすごしている方々へ』P.メイソン著 星和書店 2003 (原書1998/Stop Walking on Eggshells)
- 『人格障害論の虚像 ラベルを貼ること剥がすこと』高岡健著 雲母書房 2003
- 『「分裂病」の消滅 精神病理学を超えて』内海健著 青土社 2003
「人格障害とその治療」と「人格障害論の虚像」は、みごとにそれぞれ日本における人格障害認識の対極を見せている、という感じ。
「境界性人格障害=BPD」は、人格障害論発祥文化圏での受容・実施状況を見せてくれている感じ。
『人格障害論の虚像 ラベルを貼ること剥がすこと』のアマゾン・レビューでは、yanky666氏が以下のように述べている。
「人格障害」という病名は、アメリカ精神科医たちの陰謀で創られた<金儲け>の材料であることがこの本によって暴露されている。
むかし、日本には、「人格障害」というものはなく単に、「へんくつ」「わがまま」「変わり者」がいただけである。
それなのに、アメリカ志向の日本の精神科医たちはDSMという不完全なマニュアルを輸入し、新しい「人格障害」という金づるをつかんだ。
この本は、医学専門書というより、優れたドキュメンタリーとして読んでほしい。
一方的な言い方になっていますが、たしかに、人格障害を精神疾患に含めるかどうかについての議論は結論が出ていないそうです(『精神・心理症状学ハンドブック[第2版]』 213ページ ISBN:4535982163)。