『理想の国語辞典』国広哲弥 著

国語辞典に限らず、辞書制作関係者は必読。ことばに興味を持つ人にもおすすめ。

『理想の国語辞典』国広哲弥著, 大修館書店, 1997 理想の国語辞典

以下、小矢野哲夫氏の書評 より。
http://homewww.osaka-gaidai.ac.jp/~koyano/kenkyuuseika/honnoshoukai.html

 理想の国語辞典として第一部では、(1)動詞項目に「〜が欠ける」「〜に欠ける」のように、共起する格助詞を記述すること、(2)「壁にペンキを塗る」《場所格に+対象格を》「壁を塗る」《場所格を》のように文型を記述すること、(3)意味理解に役立つ用法・連語・成句を記載すること、などを提案する。
 第二部では、多義語の記述法が、理論的な手順に従って具体的に示される。多義語の意味関係として、焦点移動、具象化、比喩的転義、時空比喩、時空間推義、推義、プラス値派生義、上下関係派生義、推論的派生義、抽象化派生義を見いだして体系化を図る。多義語の構造化も、現象素という用語によって、「とる」「とぶ」「さき」などを例に明示的に論じられる。定義の堂々巡りも、図示・図解を積極的に用いることで解消している。
 第三部には理想の辞典に必要な記述項目を示し、三十二語の辞典記述見本を掲げる。



国広哲弥氏が編纂する国語辞典。2007年10月発売って…。

『現代用例国語辞典』学習研究社 ISBN:4053011019