哀愁のポスト・フェミニズム(内田樹の研究室)
from 哀愁のポスト・フェミニズム(内田樹の研究室 2005年09月16日)http://blog.tatsuru.com/archives/001230.php
この手のコバンザメ諸君にいちばん効くのが「・・・はもう終わった」というさりげない ひとことである。 彼らは「当節のはやりもの」にいちはやくキャッチアップする流行感度に知性の有り金を 賭けているから、バックステージで「こそっと」呟かれるひとことにきわめて敏感に反応 する。 私が「フェミニズムはもう終わった」と書いたのは、フェミニストに告げたことばでもな いし、アンチ・フェミニストに宛てたことばでもない。 「フェミニズムももう終わったしね・・・」ということばを誰に言うと出もなくつぶやい たのは、フェミニズムの旗振りをしていれば当面飯櫃の心配はしなくてすむと思っていた コバンザメ野郎たちの耳元においてである。 彼らはこういうことばにはほんとうに敏感である。 もし私が「フェミニズムを終わらせなければならない」と言ったのなら、彼らとて耳を貸 しはしなかっただろう。 彼らは「遂行的言明」には興味がない。 彼らが耳を傾けるのは「事実認知的言明」だけである。 「終わった」という風聞を聞きつけたコバンザメは、気づかれないように、さりげなく、 「主人」のもとから逃げだそうとする。