プロジェクトマネジメントとエスノグラフィー
http://people.weblogs.jp/books/2005/06/post_794e.html
ヘンリー・ミンツバーグ(奥村哲史、須貝栄)「マネジャーの仕事」、白桃書房(1993)
戦略論のグル ミンツバーグの書いたマネージャーのエスノグラフィー。
組織の中でもっとも定義しにくい仕事は、いうまでもなくマネージャーの仕事である。そのマネージャーの仕事について、エスノグラフィーを行い第3章 マネジャーの仕事にある明確な特徴
第4章 マネジャーの仕事上の役割
第5章 マネジャーの仕事の多様性
第6章 科学とマネジャーの職務という視点で1冊の本にまとめている。
- 作者: ヘンリーミンツバーグ,Henry Mintzberg,奥村哲史,須貝栄
- 出版社/メーカー: 白桃書房
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from プロジェクトを成功させる仕事術 pm_work_style: エスノグラフィーしよう! http://people.weblogs.jp/pm/2005/08/post_014b.html
僕はコンサルティングの中に、エスノグラフィーに取り入れている。エスノグラフィーとは、現場に行って人々の行動を観察し、その行動をドキュメント(モノグラフという)に書き留めておき、ドキュメントを分析してさまざまな知見を得ようという一種のフィールドワークの手法である。
弊社の場合は、ただ観察するだけではなく、実際にプロジェクトに参加して(例えば、プロジェクトマネージャーやプロジェクトマネジメントスタッフを引き受けて)、その中で観察をしていくという「参加観察」の手法をとることもある。
もともと民俗誌をつくるために使われていた手法だが、マネジメントの中でも、組織の問題を扱う場合などを中心に疲れるようになってきた。民俗誌の場合、やはり、一緒に生活してみないと分からないことも多いらしい。マネジメントでも同じような意味で、貴重な情報が得られることが多い。
僕がエスノグラフィーを使うに至ったのは、いろいろな人や本からのアドバイスがあったからだが、最も、影響の大きかったのは、ヘンリー・ミンツバーグの
という本を読んだこと。マネージャーに持っている実際のイメージと、実態はこんなに違うものかということに驚かされた。まさに臨床の知である。
この本を読んで以来、人の話を聞いて診断をするということをしなくなった。生産管理などのコンサルティングでは現場を見るのが常識だが、人が絡んだ部分では、なかなか、難しい。そのため、観察するよりはインタビューが中心になっていたのだが、考えを改め、エスノグラフィーを取り入れるようにした。
from pmstyleゼミナールプロジェクトマネジメント: ゆとりをもって仕事をしよう(2) http://people.weblogs.jp/pmstyle/2005/08/post_5c3a.html
ゆとりをもって仕事をしよう(2)
ある年に、CADを開発している企業(部門)で、5ヶ月をかけて延べ18日間のエスノグラフィーを 行ったことがある。テーマはプロジェクトマネージャーの仕事とコンピテンシー。書いたものは門外不出なのだが、非常に多くのことが分かった。まさに、百聞 は一見にしかず。
見た目に、Aのメンバーは余裕を持って仕事をしている。朝礼で時間がかかる場合でもしっかりとした議論をしている。他のメンバーの予定に変更があってもほとんど手待ちをすることなく、自分のスケジュールの修正をしている。
ところがBの方は、バタバタ。何か変更があろうものなら、みんなが走り回る状態になる。普段もまったく余裕がない。追い詰められたような雰囲気で仕事をしている。
この2つの差はどこにあるのだろうか?はっきりしているのは、Aプロジェクトはそれぞれのメンバーに全体の動きが見えている。その上で、自分の判断で毎日どのように行動すべきかを決定している。自立するとはそういうことだ。
Bはメンバーに全体の動きが見えていない。したがって、すべての変化は突然やってくるので、その対処に追われる。
結果として現れるのは大きな違いであるが、実はこの違いはそんなに大きな違いではない。プロジェクトマネジメントの概念に「プロアクティブ」という概念がある。日本語でいえば、先手必勝。最初の手が自分から打てるかどうかの違いである。
プロジェクトAのプロジェクトマネージャーはメンバーの先手必勝をうまく演出している。プロジェクトBのプロジェクトマネージャーはそれがあまりう まくできていない。その違いだ。先手必勝によりゆとりが生まれる。ゆとりはゆとりを生み出す。その原資となるゆとりを如何に生み出すかがプロジェクトマネージャーのスキルである。