『ITプロジェクトマネージャーのためのコーチング入門』
『ITプロジェクトマネージャーのためのコーチング入門』大浦勇三 著、ソフトリサーチセンター、A5判 235ページ 本体2400円
- 作者: 大浦勇三
- 出版社/メーカー: ソフトリサーチセンター
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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プロジェクトで求められている技術やスキル、知識や経験、ノウハウが従来のプロジェクトマネジメントの範囲を大きく超えるものになっていることを指摘した後、以下のように述べている(同書12ページより引用。太字は引用者による)。
【プロジェクトで必要になる技術やスキルなどを】時間をかけて1つ1つ経験しながら身につけていくというスタイルでは不十分になってきた。プロジェクトマネジャーも,自らが目標とすること,学ぶべきことを明確に描くことが必須になってきた。一方,組織も計画的にプロジェクトマネジャーとしての人材を育て,強化・向上させていくための教育プログラムが欠かせなくなっている。座学だけですむ話でもなく,実務経験も欠かせないし,一方で,広範囲の理論武装も必要だ。いわば,技術/スキル,知識や経験,ノウハウを融合した総合力が問われることになる。
また,それを通じて高付加価値を生み出すには,プロジェクトが金太郎飴の集団では難しく,多様性が欠かせない。どうしても,メンバーは異なる文化風土を持った人間によるコラボレーションの形態になる。環境は刻々と変化する中で,学習と成長を持続させることがプロジェクトへの参加資格となる。これまで蓄積した知識の量ではなく,将来に向かって,どれだけ持続的に学習していけるかがプロジェクトマネジャーとしての存在価値になる。仕事をする場所,時間,仕事仲間が常に同じとは限らず,求められる技術/スキルも刻々と変化する。高度化,複雑化は一段と進み,技術/スキルの変化の大きさだけ,仕事の内容も変わる。これまでの仕事の仕方や発想にこだわることなく,「一生学び続ける」者のみが生き残る時代に入ったのだ。
目次 はじめに 本書の構成と狙い 第1章 コーチング・メンタリングとプロジェクトマネジャー 11 1-01 プロジェクトマネジャーの育成と技術/スキルの向上 12 1-02 コーチングやメンタリングが必要となる背景 14 1-03 コーチングとは何か 16 1-04 コーチングの狙い 18 1-05 コーチングの形態(1)─7つのパターン 20 1-06 コーチングの形態(2)─動機付けとフィードバック 22 1-07 コーチングの方法 24 1-08 コーチングの目標 26 1-09 コーチングのメリット 28 1-10 コーチングを活用する機会(1)─様々なコーチング機会 30 1-11 コーチングを活用する機会(2)─コーチィー候補はどこにもいる 32 1-12 コーチングを活用する機会(3)─ライフサイクルの視点 34 1-13 メンタリングとは何か 36 1-14 メンタリングの狙い 38 1-15 メンタリングのメリット 40 1-16 コーチングとメンタリングの相違 42 第2章 プロジェクトマネジメントの動向 45 2-01 プロジェクトマネジメントの最新動向 46 2-02 プロジェクトマネジメントの失敗要因 48 2-03 プロジェクトマネジメントの成功要因─11個の成功要因 50 2-04 プロジェクトマネジメントの成功要因─フェーズ別 52 2-05 プロジェクトマネジャーに求められる能力─3つの要件 54 2-06 プロジェクトマネジャーに求められる能力─12個の行動特性 56 第3章 プロジェクトマネジメントにおけるコーチングの基本59 3-01 コーチング・プロセス(1)─「観察」 60 3-02 コーチング・プロセス(2)─「議論」と「コーチングの実施」 62 3-03 コーチング・プロセス(3)─「フォローアップ」 64 3-04 「観察」はコーチングの重要な準備作業 66 3-05 ギャップを把握する 68 3-06 「仮説」を立てる 70 3-07 じっくり「話を聞く」ことの大切さ 72 3-08 「仮説」を見直してみる 74 3-09 コーチィーの準備と覚悟 76 3-10 コーチィーの自己評価とギャップ分析 78 3-11 「観察」プロセスを踏まえて「議論」へ 80 3-12 コーチィーとコーチはパートナー 82 3-13 事実をベースにした議論 84 3-14 対話することの大切さ 86 3-15 オープンタイプの質問とクローズドタイプの質問 88 3-16 コーチィーの懐に入り込む 90 3-17 言葉の背後にあるものを見極める 92 3-18 問題の原因を突きつめる 94 3-19 問題の原因には外部要因が多い 96 3-20 目標を設定する 98 3-21 権限委譲を工夫しよう 100 3-22 アクションプランの作成 102 3-23 アクションプラン作成のステップ 104 3-24 コーチングを開始する 106 3-25 「質問する」ことの大切さ 108 3-26 双方向のフィードバックが基本 110 3-27 フィードバック活用の留意点 112 3-28 フィードバックの内容 114 3-29 コーチングのアプローチ 116 3-30 フォローを忘れないこと 118 第4章 プロジェクトマネジメントにおけるコーチングのレベルアップ 121 4-01 コーチングのレベルアップを工夫 122 4-02 時間を効率的に使う 124 4-03 権限委譲の有効活用 126 4-04 時間とエネルギーを効率的に使おう 128 4-05 最良の環境を作り出す 130 4-06 コーチングには「信頼」が不可欠 132 4-07 アカウンタビリティ(成果責任)を果たす 134 4-08 学習や改善・強化の動機付け 136 4-09 ミスを回避する (1) ─「話しすぎること」 138 4-10 ミスを回避する (2) ─「感情的になること」 140 4-11 「ロールモデル」の役割 142 4-12 チームコーチングの有効性 144 4-13 チームコーチングの習得 146 4-14 実践を通じて技術/スキルの向上を図る 148 第5章 パフォーマンス評価の考え方 151 5-01 パフォーマンス評価における8つのステップ (1) ─準備 152 5-02 パフォーマンス評価における8つのステップ(2)─会議の開催 154 5-03 パフォーマンス評価における8つのステップ(3)─ギャップの特定 156 5-04 パフォーマンス評価における8つのステップ(4)─ギャップの根本原因 158 5-05 パフォーマンス評価における8つのステップ(5)─改善計画 160 5-06 パフォーマンス評価における8つのステップ(6)─パフォーマンスの再評価 162 5-07 パフォーマンス評価における8つのステップ(7)─記録を残す 164 5-08 パフォーマンス評価における8つのステップ(8)─フォローアップ 166 第6章 プロジェクトマネジメントにおけるコーチングの留意点 169 6-01 コーチングの留意点 170 6-02 コーチングの障害 172 6-03 すばらしいコーチとは(1)─「最後まで聞くこと」 174 6-04 すばらしいコーチとは(2)─「優先順位付け」 176 6-05 コーチの自己評価チェックリスト(1)─「ロールモデル」 178 6-06 コーチの自己評価チェックリスト(2)─「フィードバック」 180 6-07 フィードバックセッションの計画に対するチェックリスト 182 6-08 コーチングスキルの自己評価(1)─32の技術/スキル 184 6-09 コーチングスキルの自己評価(2)─3段階評価 186 第7章 プロジェクトマネジャーに対するコーチング 189 7-01 プロジェクトマネジャーへのコーチング(1)─目的 190 7-02 プロジェクトマネジャーへのコーチング(2)─トラブル 192 7-03 プロジェクトマネジャーへのコーチング(3)─必要性 194 7-04 プロジェクトマネジャーへのコーチング(4)─アプローチ 196 7-05 プロジェクトマネジャーへのコーチング(5)─診断型 198 7-06 プロジェクトマネジャーへのコーチング(6)─規範型 200 7-07 プロジェクトマネジャーへのコーチング(7)─適任者 202 7-08 プロジェクトマネジャーへのコーチング(8)─落とし穴 204 第8章 プロジェクトマネジメントにおけるコーチングのまとめ 207 8-01 コーチングに関するまとめと要約(1)─観察 208 8-02 コーチングに関するまとめと要約(2)─対話 210 8-03 コーチングに関するまとめと要約(3)─質問 212 8-04 コーチングに関するまとめと要約(4)─PMコーチング 214 第9章 第三世代プロジェクトマネジメントへの対応 217 9-01 第三世代プロジェクトマネジメントの台頭 218 9-02 第三世代プロジェクトマネジメントの考え方 220 9-03 第三世代プロジェクトマネジメントの特徴 222 9-04 「不確実性」「リスク」対応の強化 224 9-05 プログラムマネジメント─ナレッジマネジメントとの連携 226 参考文献 229 索引 231