『日本退屈日記 日本の凋落と再生』

日本退屈日記―日本の凋落と再生

日本退屈日記―日本の凋落と再生


サイモン・メイ(ロンドン大学教授)著、中村保男 訳、四六判・304頁 定価1,995円(本体1,900円+税5%)
from http://www.rup.reitaku.jp/mokuroku/shoseki_99.htm

外国人が書いた日本・日本人論は、汗牛充棟(かんぎゅうじゅうとう)にはちがいない。しかし、本書は、そのユニークな内容からして究極の、一味違った日本・日本人論である。
著者のサイモン・メイは、哲学者にして実業家という異能の人。バブルが崩壊し、国家的経済破綻が白日の下にさらされ、政治的変革を余儀なくされていた、21世紀初頭の日本に、東京大学客員教授として降り立った著者の日本探訪記である。
頭脳明晰にして、英国人特有の皮肉を利かせたユーモアたっぷりの著者の筆は、「不思議の国・ニッポン」を前にして、鋭く冴え渡る。
日本人は自信喪失している暇はない。ユーモアに包みながらも、世界標準から見て、やっぱり特殊な、その己のユニークさを認識することから再生の途が始まる、と著者は言う。

[主要目次]
カフカの悪夢/花開く桜の木/通勤電車/巨大組織/儀式/若者たち/香道/きまぐれな清潔信仰/鼠と寿司屋の親父/建築家の細君/台風と騒動/ヒットラーと縫いぐるみの熊/触って、さすって、ヒーリング/日本式健忘症/日本的解決法/京都で迎えた正月/良い死に方/謎の湯たんぽ/4人のヤクザと葬儀/広島の愛/途中下車/客員教授は消えゆくのみ/官僚との長いお別れ