消費者金融への多角化と範囲の経済

消費者金融への多角化と範囲の経済」国吉美那子(早稲田大学 商学部4年)
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消費者金融サービス懸賞論文サイト http://www.ibi-japan.co.jp/acfs/kensho/prize_4.html

 2003 年11 月28 日、インターネット上にバーチャル商店街を運営する楽天が、インターネットによる消費者向けのローン・決済サービスに進出する方針を発表した。2004 年中には、インターネット上での決済サービスを開始するという。楽天の金融分野への参入は、同月17 日にDLJ 証券を買収し子会社化することにより行われている。
 楽天のように、異業種の企業が新たに消費者金融マーケットに進出するのは珍しいことではない。金融分野へ多角化した企業がどのようにして成功しているのかを考察し、多角化を成功させる要因を考察するのが本論文の目的である。


 多角化を成功させるために最も重要なものは範囲の経済の成立であるが、なかでも追加投資の不要な情報資源を利用することと、ブランド力などの摸倣困難性の高い経営資源を活用することは非常に有効である。確立されたブランドイメージは、現在の事業とは別の業種へ進出しても通用するため、先行企業よりも優位に立てるからである。ブランドイメージ構築には長い年月と広告宣伝などを含む費用負担をしなければならないため、確立されたブランド力は非常に摸倣困難性が高い。とはいえ、追加投資を必要としない情報資源がなくても、アイワイバンク銀行のように他社が持ち得ない経営資源(=コンビニエンスストア店舗網)を活用することで範囲の経済を成立させることは可能である。