私が応用言語学者になった理由/畑佐由紀子 アイオワ大学准教授

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 日本語を教えるようになってからは、アメリカ人が日本語を習得しようとするとき、どんな問題が起こるか、起こらないか、あるいはその問題の原因はとこにあるのかなどに、興味がわいてきました。例えば、アメリカ人にとって難しい文法は何かと考えると、二つの言葉が違う部分が難しいと考える人が多いようですが、必ずしもそうではありません。日本語では「おいしい」、「おいしくない」、「おいしかった」、「おいしくなかった」というように形容詞が活用しますが、英語の形容詞は活用しません。じゃあ、形容詞の活用はむずかしいかというと、そうでもありません。一方、日本語の「歩いている、話している」は英語の walking, talking と同じ意味なのですが、「行っている」は going ではなくgone, 「死んでいる」はdying ではなくdeadという意味になります。つまり、「ている」がいつ現在進行形の意味になりいつ完了の意味になるのか区別をするのは学習者にとっては大変難しいことです。