検索会議 今回のテーマは「非検索」〜ゲストは増井俊之氏と茂木健一郎氏

from 検索会議 今回のテーマは「非検索」〜ゲストは増井俊之氏と茂木健一郎氏:RBB TODAY (ブロードバンド情報サイト) 2006/09/29 http://www.rbbtoday.com/news/20060929/34496.html

 そして第4部は「認知科学脳科学の現場から」と題して茂木健一郎氏が登壇。

 検索しても、その結果リンクをさらに選択してジャンプする現在の構造から、「検索するとは選ぶことである」とし「人間の脳は検索はもっとも不得意。選択がもっとも得意」という観点から、現在のインターネットの行動原理として「クリックエコノミー」というタームを掲げた。あらゆる企業は、いかにクリックさせるかにしのぎを削っているわけだ。しかし「脳の嗜好性はどんどん変わる」というわけで「クリックエコノミーもUtility(効用)という概念に取り込まれる」「嬉しいことがあるとドーパミンが出る。これがハマった状態。報酬が与えられることで、選択という行動が強化される。これはクリックでも同じ」と論が進む。

 「ドーパミンを出させれば、サイトに戻ってくる」という点で、「良いデザインとは何か、はこれ抜きには語れない。知覚される品質とは違う。最高級レストランの食事より、吉野屋の牛丼の反復性が強いのと同じ。Googleの素っ気ないデザインも、ある意味、インターフェイスとかデザインに対する挑戦状だ」と、デザインではなく本質がクリックエコノミーの行動トリガーであり、「Webサーフィンしているとき、どういう基準でクリックしているかを、今まさに皆が知りたがっている。クリックするまではわからない、不確実な世界で、クリックエコノミーが動いている。しかし、どんなユーザの行動も関数として記述できるはずだ」と神秘主義からの脱却を強調。それが神経経済学とのことだ。

 話は異常行動や利他行動にまでおよび「amazonのリコメンデーションとか使います? 現在のものはいいとは思わない。そもそも人間は学習する動物。赤ちゃんが動くのはお金がもらえるからではなく、それで学習できるから」「メーリングリストは押しつけがましいから廃れた。でもブログは自分で読みにいく。これも赤ちゃんが自分勝手に動くのと同じで、自己の学習という原理が強力だから」と、まさに百式の田口元氏の話と繋がったところで終了となった。