『一六世紀文化革命』(山本義隆)
『一六世紀文化革命』(1、2)山本義隆 著、みすず書房、2007/04 四六判188×128mm ■ 大学アカデミズムや人文主義者を中心としたルネサンス像に抗し、16世紀ヨーロッパの知の地殻変動を綿密に追う。技術者・商人・外科医・芸術家たちの実践と17世紀科学革命の関係を明かし、その時代と可能性を描き出す。
【目次】 序章──全体の展望 第1章 芸術家にはじまる 第2章 外科医の台頭と外科学の発展 第3章 解剖学・植物学の図像表現 第4章 鉱山業・冶金術・試金法 第5章 商業数学と16世紀数学革命 第6章 軍事革命と機械学・力学の勃興 第7章 天文学・地理学と研究の組織化 第8章 16世紀後半のイングランド 第9章 16世紀ヨーロッパの言語革命 第10章 16世紀文化革命と17世紀科学革命
- 作者: 山本義隆
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2007/04/17
- メディア: 単行本
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from http://www.msz.co.jp/book/author/14051.html
〈16世紀はさまざまな側面で17世紀科学革命が準備された時期と言われている。そういう見方をすれば、その準備はそれまで文字文化から疎外されていた芸術家や職人たちによって担われたと言えよう。彼らの側からの著述と学問世界への越境は、それまでのラテン語を操るエリートによる知の独占を打破し、中世以来の伝統であった自由学科と機械的学科の分離・切断を克服し、純粋な知的作業とされていた理論的研究と手工的技術に帰されていた実験的研究の結合を促し、手仕事と機械的なるものにたいするポジティブな価値評価への転換を迫るものであった。ボッカッチョやラファエッロをいだく14・15世紀のルネサンスとガリレオやニュートンに代表される17世紀科学革命のあいだの谷間のように見られている16世紀に、なるほどそのようなきらびやかな天才の名前には乏しいにしても、しかし17世紀を準備することになる知の世界の地殻変動すなわち「16世紀文化革命」が進行していたのである〉