『輿論研究と世論調査』

輿論研究と世論調査岡田直之佐藤卓己・西平重喜・宮武実知子 著、新曜社、2007年9月下旬 A5判上製240頁・本体3200円 ■ 「世論」は存在するか?◆ もともと「輿論」(よろん)はパブリック・オピニオン(公論)、「世論」(せろん)はポピュラー・センチメント(民衆感情)として、はっきり区別されていました。それが戦後の漢字制限で「輿論」は「世論」に置き換えられ、混乱が生じています。本書は、戦前から戦後にかけての輿論/世論研究を取り上げ、戦時中の総力戦体制から戦後の「輿論の世論化」現象が出てきた過程をさぐろうとします。また、「世論調査」は戦後、占領軍によってデモクラシーの象徴としてもたらされたと専門家までが信じ込んでいますが、実際には戦中から既に世論調査はあったことも跡づけます。さらに、戦後の世論調査の現場で活躍した西平氏の貴重な証言も含まれ、この分野の必須図書といえましょう。

輿論研究と世論調査

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