『方法への挑戦 科学的創造と知のアナーキズム』(ファイアーベント)
たまたま目黒図書館で借りたファイアーベントの『方法への挑戦』が、新潮社の季刊誌「考える人」の2008年夏号 特集「自伝、評伝、日記を読もう」の「自伝・評伝を愉しむブックガイド」欄の「科学者」篇でも紹介されていた。ライターは、ウェブサイト「哲学の劇場」の共同主宰者で、最近『デバッグではじめるCプログラミング』(翔泳社)を著した山本貴光さんであった。その弾切れなしの小銃音のような書きっぷりは実際の誌面を読んでいただくとして、さて『方法への挑戦』である。
この本、中身を理解するには先に『思想史のなかの科学』(平凡社)ぐらいは読んでおかないと歯が立たない。それはまあともかく、この図書館本、前に借りた人が非常に勉強熱心だったようでエンピツでところどころ線が引いてある。一体、どんなところを「重要!」「至言!」「注意!」「調査!」と思ったのか、いくつか抜き書きしてみる。〔 〕、→以降は引用者による。
- 3ページ 科学はどんな「裸の事実」をも知らない 〔科学は〕本質的に観念的 〔科学は〕愉快なもの わずかな洗脳が、科学の歴史を、ずっと退屈で、単純で、一様で、「客観的」であり、厳密でかつ不変の規則による取扱いを一層容易に受け容れるものとするのに威力を発揮する
- 8ページ 私が憎悪するような、まさにそうした種類のピューリタン風の謹厳な献身と重々しさとを含んでいる
- 148ページ みごとな職業的手腕を発揮して →これは、どこに注目したのかよくわからない…。表現かな?
- 210ページ 一七世紀の物理学と天文学への私の長い迂回を説明する
- 225ページ 理論を欠いた経験は、まさに(いうところの)経験を欠いた理論と同じく理解不可能である
- 243ページ 『理性の友』の数を増し →『理性の友』??
- 250ページ 啓蒙時代以降の政治的アナーキズムの注目すべき特徴の一つは、人類の「自然的理性」への信仰であり、科学への尊敬である
- 273ページ あたかも近代科学は魔術や、アリストテレスの科学よりもすぐれており
- 393ページ (一一八)サッポーの「苦く=甘いエロス」、Snell, p.60. →これは一体何だったのだ。
- 412ページ マリノフスキー 神話はわれわれが哲学的議論から予期するよりもはるかに科学に近い
- 437ページ 〔訳者あとがき〕表現もまた、科学と売春とを同じ類のものとして再三描写するなど、極めて刺激的である
- 作者: ポール・K.ファイヤアーベント,Paul K. Feyerabend,村上陽一郎,渡辺博
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季刊誌「考える人」 2008年夏号 2008年7月4日発売 B5判 240頁 定価1,400円 JAN:4910123050881 特集 自伝、評伝、日記を読もう ■ 辻邦生 1968〜69年 パリの日記 ■ きれいな風貌 西村伊作伝 黒川創 ■ インタビュー 丸谷才一 伝記はなぜイギリスで繁栄したか 聞き手・湯川豊 ■ インタビュー 橋本治 日本人にとって日記とは何なのだろう ■ インタビュー 最相葉月 ノンフィクションと本格評伝のあいだ ■ 伝記の読み方、愉しみ方 中井久夫 ■ 「自伝」を支える幽霊仕事 永江朗 ■ アンケート 私の好きな自伝、評伝、日記 ■ エッセイ この一冊 高見順「敗戦日記」 荒川洋治 ツヴァイク「昨日の世界」 養老孟司 「オコナー書簡集」 小池昌代 ディネセン「アフリカの日々」 横山貞子 堀田善衛「ゴヤ」四部作 千葉成夫 中野好夫「蘆花徳冨健次郎」 武藤康史 ドイッチャー「トロツキー」三部作 水野忠夫 獅子文六「娘と私」 鹿島茂 山下恒夫「石井研堂」 坪内祐三 「ミルン自伝」 大井玄 「ナボコフ自伝」 若島正 ■ 自伝・評伝を愉しむブックガイド 日本の作家 小谷野敦 音楽家 鈴木淳史 科学者 山本貴光 アメリカ 青山南 巨人たち 北康利 女優 津野海太郎
- 作者: 山本貴光
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- 作者: 伊東俊太郎,村上陽一郎,広重徹
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