Stay Hungry. Stay Foolish. の訳
オルタナティブ・ブログ「エディテック」のエントリーはこちらです。
● エディテック:「Stay Hungry. Stay Foolish.」『スティーブ・ジョブズI』http://blogs.itmedia.co.jp/editech/2011/11/stay-65a4.html
Stay Hungry. Stay Foolish.
これが、スティーブ・ジョブズが2005年春に米スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの最後を締めくくる言葉でした。これを『スティーブ・ジョブズ』を単独で訳した井口耕二さんは、
「ハングリーであれ。分別くさくなるな」
と訳しています(107ページ)。
「Stay Hungry. Stay Foolish.」は、Whole Earth Catalogue の最終号の言葉だったわけですが、さまざまな訳が公開されていて、よく見かけるのは次の2つでしょうか。
- ハングリーであり続けろ、バカであり続けろ
- ハングリーであれ。愚か者であれ
こういうような訳に対して「Openブログ」では次のように指摘。http://openblog.meblog.biz/article/6380386.html
大事な点は、「 Stay 〜 」と書かれている、という点だ。つまり、「〜 のままであれ」(〜 であり続けろ)ということだ。その前提として、次のことがある。
・ 今は 〜 である。
・ やがては 〜 でなくなる。つまり、前提として、次のことが含意されている。
「今は hungry で foolish だけど、このまますれば必然的に、そうではなくなる。だからあえて、そうならないように、努力せよ」
わかりやすく言えば、こうだ。
「あなたたちはやがては、満ち足りて、賢明になるだろう。しかしそれではいけない。今のひもじさと、今の馬鹿さ・愚かさを、失ってはならない。それはとても大切なものなのだから」
そして、次のように続けています。
ここまで言えば、ジョブズが何を言いたかったか、わかるだろう。こうだ。
「若さを失うな」
あるいは、こうだ。
「活力の源を失うな」
うーん、これはどうなんだろう。このあたり、田中求之さんに Facebook で教えてもらった話が参考になります。
今日のゼミで学生にスピーチの全文(翻訳と英文)を配って読んでもらい、僕が補足説明をした上で、意訳させてみました(さすがに翻訳は難しいだろうから)。「自分を持って、死ぬまであがけ」「妥協せず、執着しなさい」「満足するな、信念をまげるな」といった意訳が出てきました。Hungry と Foolish にジョブズが込めた思いはつかんでくれたように思います。ただ、Be ではなく Stay であること(今の君たちが持っているということ)を表現するのが難しいよね、という話で終わりました。
僕個人は、「打算に走るな、言い訳に走るな」あたりかなと思っています。学生たちには「満たされるな、丸くなるな」かなと言いましたが。
学生さんの「自分を持って、死ぬまであがけ」(!)も最高ですが、田中さんの訳もいいですねぇ。勉強になりました。