『差異と欲望 ブルデュー『ディスタンクシオン』を読む』石井洋二郎 著

藤原書店、1993年、364P/四六判、ISBN:4938661829
from 【駆け出しコンサルタントのおすすめ本!】 2004.08.29 Sunday
差異化するということ http://work-it-out.jugem.jp/?eid=6

マーケティングでは、他社の製品やサービスと差異化することが基本ですが、そもそも「差異」とはどういうことなのか考えたことってありますか?

差異化もしくは差別化という言葉は、フランスやイギリスで使われている言葉の意味と、日本で使われている言葉の意味とは違いがあります。

日本では、差異化は他者と区別することを言いますが、フランスやイギリスでは、その意味に加えて「卓越性」や「上品さ」といった意味を含んでいます。

ヨーロッパでは、階級制度により生まれた時から差異が生じています。

差異(階級差、地位差、貧富差等)は上のレベルに到達したいという欲望を生み出し、差異がなくなってくると、また新たな差異を生み出す欲望に駆られます。差異こそが社会のダイナミズムの源泉と言えます。

一方、日本には階級制度がありません。元々差異がないため、差異があるとしても表面的レベルなのです。日本人のブランド志向は、それを身に付けることでしか、卓越性を表現できないためと言われています。

差異化=フランスやイギリスでは「卓越性」や「上品さ」といった意味も含んでいる、と。本義にはそういう意味はないが、文化的には、ということですね。