ロールズの弟子 Thomas Nagel

政治思想研究指導                       飯島 昇蔵
わたくしの専攻領域は西洋政治思想,特に現代政治思想である。1980年代以降における西洋規範的政治理論一般の展開は,リべラリズムとコミュニタリアニズムのあいだの論争とみなされうる。94年度においてはJohn RawlsのA Theory of JusticeとPolitical Liberalismを取り上げ,95年度は社会契約説を再検討したが,96年度の前期においては,ロールズの弟子のThomas NagelのThe Possibility of Altruism(Princeton,1970) とThe View from Nowhere(Oxford,1986)を取り上げて,現代におけるりべラリズム(カント主義)の立場からなされる客観的な論理・道徳の可能性を探っている。後期においては,ロールズによって再発見された現代における社会契約説の可能性を,特に思想史的文脈と,公共政策の観点とから批判的に検討するつもりである。