重版、絶版、廃版

最近ときどき目にするのが「絶版だった本が復刊された」という言い方だ*1。「復刊」は、「刊行を中止・廃止していた(定期刊行の)出版物を、また刊行すること」(岩波国語辞典)なのだから、単行本などでは使うべきではないのでは? では「絶版だった本が重版された」という言い方ならいいかと言えば、これも奇妙に聞こえる。出版を止めたのに重版(=再版、増刷)するということは、出版を止めたわけではないということで、論理的に変だ。
したがって、冒頭の「絶版だった本が復刊された」を正確に言えば、「長らく在庫なし状態だった本が重版された」ということになる。
あと、「廃版」は、「版」(あるいはフィルム)そのものを廃棄するということ。いまでは死語かなぁ。
このあたりの用語の意味するものは、版元によって微妙に違うかもしれませんが…。

*1:「復刊」を「復刻」と言う人もいるが、これはちょっと違うだろう。「復刻」とは、「木版本を、もとのと同じように彫って刊行すること。また、一般に、本の複製」(岩波国語辞典)