買ってしまったけど、この人はどうしますか?(リプライズ)

公共哲学』山脇 直司著(ちくま新書 469)
↑野崎泰伸(id:nozakiy)さんの書評(bk1)あり。
以下、井上達夫氏が「UP」の2004年5月号に書いた記事の締めくくりの言葉。
記事名:法概念の「脱構築」の後に 法の公共的正当性の解明へ

デリダは「法は脱構築可能だが正義は脱構築不能である」と言ったが、問題はその先にある。正義の脱構築不能な核が何であるかを明示し、法が脱構築可能でるにも拘らず、何が最善の正義構想かをめぐって見解が鋭く分裂する多元的社会において法が公共的な正当性をもつと我々が判断しうるための(あるいはそれを欠くと批判しうるための)規範的な指針を、この脱構築不能な正義の核心によって解明することである。拙著*1はそのような解明の企てであり、この企てへの参与と批判的応答の呼びかけである。

*1:法という企て』。bk1のレビューで著者からのメッセージを読むことができる。曰く、「不正な法も法でありうることを承認しつつ、正義と法との内的な関係を明らかにし、法実証主義自然法論との対立を超えた地平において、法の脱物神化を図ること、これが本書のプロジェクトです。」