史上最低の英語の教科書、マラルメの『英単語』
史上最低の英語の教科書ステファヌ・マラルメ『英単語』について
from 耳まで芳一 id:jedisunefleur:20040426
詩人マラルメは詩では食べていけず 高校教師もやっていた。担当は英語だ。しかし 頭の中は詩作のことしかなく この職をほとんど憎んでいると言ってもいいほど まるでやる気のない英語教師だった(マラルメもフランス人なのだ)。やる気がないだけに評判もそれほどよくなく それを少しでも挽回しようと 思い立ったのがこの『英単語』である。... とはいえ、ソシュール前夜の言語学の雰囲気、新しい学問、科学としての言語学(当時は比較言語学と言った)の雰囲気を如実に伝えてくれる本でもあり、序文以降の、英単語に対するマラルメの今日では明らかに嘘八百としか言えない様な観察など、むしろ詩人マラルメの想像的宇宙が透けて見えて なかなか興味をそそるものではある。... マラルメ全集*1にも抄訳が入っているが ... 全集所収の訳はちょっとひどすぎるのだ。自分の研究室の学生に翻訳させたのを確認せずにそのまま掲載したのか? それとも訳者の体調が非常に優れないときのものなのか? などといらぬ想像をさせるほどなのである。そこでこの本を試みに日本語にしてみようと思う。
*1:マラルメ全集 第3巻「言語・書物・最新流行」筑摩書房刊。「最新流行」って mode のことかなぁ…。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480790039/