「言葉の力」

僕は「言葉の力」というものをあまり信じていない。十代のころ、訳の分からない病気のために、ろくに学校へも行かず、ひたすら本ばかり読んでいた。会話は無力だと思った。病気を説明するものは血圧の数値しかない。僕を説明するものは試験の点数か偏差値しかない。何千行の言葉より、数桁(けた)の数値が物を言う。簡単だし、合理的だ。

と書く間宮緑(23)は作家になった。最新作は月刊新潮2008年8月号の「実験動物」(100枚)。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/books/breview/139408/