小林秀雄の誕生日

梅田望夫さんの2003年12月31日の日記より

小林秀雄全作品第15巻。コメディ・リテレール(座談 1946年)から。
「僕は政治的に無智な一国民として事変に処した。黙って処した。それについて何の後悔もしていない。大事変が終った時には、必ず若しかくかくだったら事変は起らなかったろう、事変はこんな風にはならなかったろうという議論が起る。必然というものに対する人間の復讐だ。はかない復讐だ。この大戦争は一部の人達の無智と野心とから起ったか、それさえなければ、起らなかったのか。どうも僕にはそんなお目出度い歴史観は持てないよ。僕は歴史の必然性というものをもっと恐しいものと考えている。僕は無智だから反省しない。利巧な奴はたんと反省してみるがいいじゃないか。」
一人歩きする小林の有名な言葉「僕は無智だから反省しない。利巧な奴はたんと反省してみるがいいじゃないか」の前後の文脈を正確に読むこと。文脈から切り離された言葉を引用することの危険。