ダカーポ 9/15日号 2004/09/01発売
「売れてる本」の2大特集 特集その1●ベストセラー本の作り方、作られ方、読まれ方 大ヒットする作品にはちゃんと理由がある
『世界の中心で、愛をさけぶ』が超ベストセラーになった軌跡/『バカの壁』が300万部突破!新書はベストセラーの宝庫になれるのか/ヒットの達人・見城徹さんに聞く──「売れることは本の絶対的価値」/上半期ベストセラー「ベスト15作品」編集者の“快哉”と“ノウハウ”/ベストセラーが生まれる方程式/出版すればベストセラー間違いなし──なぜこの作家たちは売れるのか
「売れてる本」の2大特集 特集その2●ロングセラー本の研究 読者を魅了し続ける秘密
出版社20社の“知る人ぞ知る”名作/どれだけ読んでますか?エンタメ系ロングセラー文庫/教育実習で打ちひしがれ、研究に限界を感じ、国家の将来を……/秋葉原・書泉ブックタワーの超ロングセラーを“写真集評論家”がチェック/恐るべし。超ロングセラー自己啓発本の版元・創元社/地味だけど、読みごたえがある作品を世に送る出版社のロングセラー/ロングセラーの宿命か?時代の移り変わりと解釈の変化/大学受験した人ならお世話になったあの参考書はいま/“本読み”のみなさんに質問です[(1) ロングセラーといえば? (2) 読み継がれてほしい新刊は?]
大学でのロングセラー
- 東京海洋大学 「How to ロープ・ワーク」成山堂書店、「フグはなぜ毒を持つのか」NHKブックス、「イワナの謎を追う」岩波新書 ▼意外によさげなラインナップだ。
- 東京学芸大学 「「学ぶ」ということの意味」岩波書店、「学び その死と再生」太郎次郎社、「教えるということ」共文社 ▼さすが教員向け、という感じ。
- 東京工業大学 「ご冗談でしょう、ファインマンさん」岩波現代文庫、「二重らせん」講談社文庫、「ファインマン物理学」岩波書店 ▼ふむ、順当なところ。
- 東京大学 「スプートニクの恋人」講談社文庫、「東大教師が新入生にすすめる本」文春新書、「想像の共同体」NTT出版 ▼「想像の共同体」はチェック。
- 防衛大学校 「武士道」岩波文庫、「坂の上の雲 1〜8」文春文庫、「戦争論 上・下」中公文庫 ▼なるほどね…。
- 電気通信大学 「萌える英単語〜もえたん」三才ブックス、「今日の5の2」講談社、「めざせ100万語! 読書記録手帳」SEG出版 ▼コメントしたくない。
- 東京芸術大学 「モーツァルト フィガロの結婚」音楽之友社、「今すぐ話せるイタリア語 入門編」ナガセ、「声がよくなる本 “ヴォイス博士”の方法」主婦と生活社 ▼「のだめ」のほうが売れているんじゃないのか?
- 東京外国語大学 「旅の指さし会話帳」シリーズ 情報出版センター、「キッチン」角川文庫(翻訳版も人気。読み比べるんだって)、「わたしの外国語学習法」ちくま学芸文庫 ▼まじめですね。
出版社別ロングセラー
- 青土社 「唯脳論」養老孟司、「北欧神話物語」クロスリイ・ホランド・K、「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」 ▼あ、青土社だったか。「夜中に台所で〜」(谷川俊太郎)は。
- 新曜社 「西欧近代科学」村上陽一郎、「単一民族国家の起源」小熊英二、「誰のためのデザイン?」ノーマン
- 藤原書店 「ディスタンクシオン」ブルデュー、「声の文化と文字の文化」オング、「地中海」ブローデル ▼ブルデューが売れてるんだ。。。
- 白水社 「ライ麦畑でつかまえて」サリンジャー、「キュリー夫人伝」、「シェイクスピア全集」
- 晶文社 「アフリカの日々」ディネーセン、「深呼吸の必要」長田弘、「考える練習をしよう」バーンズ
〔担当者の「簡単に書評できますよ」に対して〕嘘つけ!! ど〜こが一体簡単なんだよ。にもかかわらず、この本は極めて重要。世界単一市場化したグローバル資本主義の未来型=《最終戦争》の姿をヴィジュアルに捕捉しようとするスリリングで、白熱した仮説・仮想の思想的冒険が次から次へと繰りだされてくる。難解でわからなくっても、読んじまえ。わかった字数、行数ぶんだけ、「世界最先端」=未知の領域をわが手にできる……という“ぶったくり”の遊牧民型の読書術で望もう。