東浩紀「『ウェブ進化論』のさきにあるもの」(月刊「ちくま」2006年6月号)
編集部からの依頼は、『ウェブ進化論』(梅田望夫著)はなぜ売れたのか、というテーマだった。しかし、筆者がそんな問いに答えられるとは思えない。そこでここでは、ちょっと異なった話をしようと思う。
書くべきことがないとき、人はこのように書き始める。締めのことばも定石どおり。
ウェブの衝撃がビジネスやサブカルチャーにとどまらないことが、この本を契機として、日本でもようやく大衆的に浸透し始めている。その影響がどう現れるのか、『ウェブ進化論』のあとに続く議論を楽しみに待ってみたい。