IDEO社の言う「人類学者」とは

イノベーションの達人!―発想する会社をつくる10の人材

イノベーションの達人!―発想する会社をつくる10の人材

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「人類学者」と呼ばれる人、言い換えると、「人類学者」の役割を担える人は、「問題を新しい枠組みでとらえること」に非常に長けています。同書では、マルセル・プルーストのこんな言葉を引用しています。
“発見という行為の真の意味は、新しい土地を見つけることにあるのではなく、新しい目でモノを見ることにある”
優れた発想・アイディアは、従来とは異なる視点や、既存の情報の新しい「組み合わせ」から生まれるという主張は、最近は多くの人が知るところになってきたかと思います。「人類学者」は、優れた発想・アイディアを生み出すネタ元であって、イノベーションの中で最も重要な役割と言えるかもしれません。
さて、トムは、人類学者の特徴として次の6つを挙げます。
1.人類学者は禅の法則「初心」を実践している
2.人類学者は人間の行動を新鮮な驚きをもって受け入れる
3.人類学者は自分の直感に耳を傾けることによって推論を導き出す
4.人類学者は、「ヴィジャデ」を通じてひらめきを求める
5.人類学者はつねに「バグ・リスト」やアイディアの財布を身につけている
6.人類学者は手がかりを求めてゴミ箱さえもあさる。

イノベーションの達人の一人である「人類学者」は人の端的な考えなど聞きません。すぐに結論に飛びつくこともありません。イエスかノーかと尋ねる質問をしません。人類学者は、現場に出て行き、
「あなたは自分の携帯電話サービスを気に入っていますか、いませんか」
といった質問ではなく、
「あなたが自分の携帯電話にがっかりしたときの話を聞かせてください」
といって会話を始めるのです。会話の中心を物語に据えることによって、相手との強い個人的な絆を形成し、深い洞察を得ます。