ほんやく互学会 勉強会 2013

《日本語の曖昧さと英語の曖昧さは異なる》
昨日は、ほんやく互学会 勉強会で日本語ライティングについて話しました。ほんやく互学会はクローズドなサークルなので参加者は30名ほど(それでも会場は一杯)。柴田耕太郎先生の前座ということで少々緊張。
自分が話した内容は、日本語ライティングというよりは、翻訳を受け取った編集サイドで何が行われているか、翻訳者サイドでは何に気をつけるとよいかについての解説。さまざまな分野・スキルの方がいるのでどの方にも「これは参考になった!」と思ってもらえるよう、いろいろと採取。幸い、皆さんからも「そこを知りたかった」という感想を頂戴したりと嬉しいかぎりでありました。
柴田耕太郎先生の講義は、きちんと英文解読を行う方法、その実際について、ヘミングウェイの文章、外交がらみの公的文書、不動産契約書などをもとに解説。非常に参考になった。細かい言い回しは違ったと思いますが、以下のような内容でした。

並列表現に関して、英語は非常にゆるくルーズだが日本語は厳密。日本語では種類の異なるものは並列できない。英語では抽象・具象を平気で並列する。
「〜 and 分詞構文や修飾節が続く」というときに、and 以降のものが前にかかるのか、付加しているのか曖昧なことがある。この場合、文脈でしか判断できない。それどころか、"わざと" 曖昧にしていることもある(不動産契約書)。
andについては、大きく次の6つに分類している。これらを区別できるようみっちり訓練すれば、読解力が格段に増すはず。
and の役割
 対等「また」
 ゆるい順接「そして」
 きつい順接「それで」
 前節の帰結「だから」
 逆接「なのに」
 付加「それも」

ほんやく互学会 勉強会 2013
日時:2013年 5月18日(土)午後2時〜
場所:東京外国語大学本郷サテライト 4階セミナー室
【第1部】午後2時〜3時15分
川月現大氏:日本語ライティングセミナー
【第2部】午後3時30分〜午後5時
柴田耕太郎氏
終了後、打ち上げ(同じビルの8階)

●アイディ 柴田耕太郎 主宰『英文教室』: http://www.id-corp.co.jp/school/school.html



ちなみに上記勉強会でお話しした内容は、2013年1月に日本翻訳連盟(JTF)主催のセミナーでお話しした日本語ライティングに関する講義の続きを聞きたい、というリクエストに応えたもの。3〜4割ぐらいはかぶってますが拡張されてます。 

■ JTF翻訳セミナー 「翻訳に活かすライティング手法」(通算第165回)
 2013年1月10日(木)14:00 〜 16:40
http://www.jtf.jp/east_seminar/dvd.do?fn=search#dvd_56
第1部 リピートされる翻訳者になるための日本語ライティング (川月現大)
第2部 信頼される翻訳者になるための英文ライティング(中村哲三)
 中村さんは『英文テクニカルライティング70の鉄則』(日経BP)著者。